伊藤忠/小杉産業の再生支援

2007年03月23日 (金曜日)

系列投資会社がTOB

 伊藤忠商事は経営再建中の中堅アパレル、小杉産業の再生を支援する。伊藤忠が25%出資する系列の投資会社レゾンキャピタルパートナーズが22日、小杉産業の株式公開買い付け(TOB)を23日から4月19日の間、実施すると発表した。買い付け価格は1株当たり70円。

 小杉産業の発行済み株式の40%超、6040万株を所有する筆頭株主のジェイ・ブリッジは同日、全株TOBに応じると発表、小杉産業も賛同の意志を表明した。レゾンは小杉の企業価値向上の実現に、繊維事業で高いノウハウと国内外に広範なビジネスネットワークを持つ伊藤忠の全面的な支援・協力を仰ぐとしている。

解説/OEM事業再構築の一環

 伊藤忠商事による小杉産業支援は、川下志向を鮮明にする同社繊維カンパニーのアパレル製品OEM(相手先ブランドによる生産)事業再構築の方向性を強く印象付けるものだ。

 かねてから岡藤正広専務繊維カンパニープレジデントは、単なる委託加工に依存する既存のOEM事業の収益構造の限界を指摘、同社が独自の強みを持つブランドビジネスなどとのシナジーを生かし、ブランドマーケティング的な発想に基づいて、より消費者の視点に立ったOEM事業の構造改革を模索してきた。

 この間、海外ブランドへの事業投資はもとより、ユニーとの業務提携やジャヴァグループへの資本参加など国内市場においても小売、アパレル企業との連携を強め、川下への取り組みを強化してきた。

 今回の系列投資会社によるTOB(株式公開買い付け)も川下を意識したOEM事業再構築に狙いがある。同社はファッションアパレル部門の製品事業で小杉と年間約20億円の取引があり、主要顧客の一つでもある。小杉の再生が進むことによって、最初にシナジーが見込める分野でもあり、ブランドとの連携などで新たな事業展開も視野に入る。

 小杉は1月期連結決算で14億円の純損失を計上したが、「小杉産業の老舗としての歴史、信頼、実績は魅力がある。当社のブランド、企画ノウハウを活用すれば十分に再生は可能」(繊維経営企画部)とする。同社自身による出資も前向きに検討している。