特集 北陸ヤーンフェア2024(5)/出展者の見どころ/ヤギ/豊島/STX/モリリン

2024年11月07日 (木曜日)

〈PLAの紡績糸を訴求/北陸で加工施すスキーム/ヤギ〉

 ヤギは4回目の出展となる今回展で、昨年資本提携した、改質ポリ乳酸コンパウンドを開発・販売するバイオワークス(京都府精華町)のポリ乳酸(PLA)繊維「PlaX」(プラックス)の糸のバリエーションを約40種、展示訴求する。

 プラックスの長繊維は主にバイオワークスが販売役を担い、ヤギは短繊維を受け持つ。タイで紡績糸の量産体制を築けたことで、販売を本格化させていく考えだ。そのお披露目の場の一つとして北陸ヤーンフェアを選んだ。プラックスが持つ天然の抗菌防臭機能などを訴求する。

 展示は糸を中心にプラックス製の織物、編み地、最終製品を並べる。糸は7番単糸から60番単糸までを取りそろえ、混率は20~100%。リング糸やコンパクトヤーンなど糸種のバリエーションも訴求ポイントとなっている。

 用途はファッション衣料をまずは優先するが、タオルや不織布など資材関連にも広げる構想。

 タイで生産したプラックスの紡績糸はタイ国内で備蓄しつつ、タイで織・編み物にもする。また周辺のASEAN諸国で織・編み物に仕上げるスキームも作っていく。日本での備蓄も検討する。

 ASEANスキームと同時に、日本では主に北陸産地で糸加工するスキームの構築を狙う。今回の北陸ヤーンフェアで、「しっかり取り組めるパートナーを探したい」と意気込みを見せる。

〈環境負荷低減へ廃棄素材再生/サステ軸に多彩に提案/豊島〉

 豊島は廃棄素材のリサイクルによって環境負荷ゼロを目指すプロジェクト「テックリサイク」を中心に、さまざまなサステイナブル素材を訴求する。

 テックリサイクは海外の先進的なリサイクル技術を持つ工場との連携を活用。ポリエステル、ナイロン、アクリルの3素材を中心にリサイクルを推進する。

 ポリエステルについては、使用済みペットボトルを活用したマテリアルリサイクルのほか、生地を化学的に分解し再合成するケミカルリサイクルも取り扱う。

 試算では同社が生産するポリエステル製品を全てテックリサイクに変えた場合、東京ドーム520個分の面積の森林を作るのと同等のCO2吸収効果を得ることができると言う。

 テックリサイクは2022年から本格展開を開始。サステイナビリティーの浸透に伴い、ユニフォーム向けで採用が進むなど着実に成果へ結び付いている。

 今回の展示ではテックリサイクの再生ポリエステル・ナイロン・ポリブチレンテレフタレートを活用した素材を並べるほか、一部製品での展示も予定する。

 ほかにも、世界初の製法で生み出す和紙糸「ワガミ」のほか、通常のナイロン糸に比べて2倍の公定水分率を保持する親水性ナイロン冷却糸「オプティマクール」も提案する。

〈オーガニック綿など訴求/植物由来タンパク質繊維も/STX〉

 蝶理子会社であるSTX(東京都千代田区)は、綿100%を中心にさまざまな紡績糸を備蓄販売しており、最速で受注当日に出荷できるのが強み。グローバルでの仕入れ背景を生かして、需要家の要望に応じた糸提案にも特徴がある。

 今回展ではオーガニック綿糸「コンフィル」、ポリエステル100%紡績糸「スパンラボ」、植物由来たんぱく質繊維「ブリュードプロテイン」などを打ち出す。

 コンフィルはインド製オーガニックコットンを特殊紡績することで、しなやかで素材そのものの快適性を感じられるのが特徴。20~80単糸をそろえる。

 スパンラボはフルダルの再生ポリエステル短繊維や特殊ポリエステル短繊維を使用し、コットンライクなどの特徴を持ち、スポーツすぎない表現ができる。

 ブリュードプロテインはスパイバー(山形県鶴岡市)の植物由来タンパク質繊維で、ピマ綿80%ブリュードプロテイン20%混紡糸を用意。綿カシミアのような肌触りのラグジュアリー感を打ち出す。

 出展を通じてオリジナルの原糸の取り扱いを、改めて北陸をはじめ国内の繊維産地へ幅広くアピールし、実商売に結び付けるとともに、オリジナル原糸の販売だけでなく、生地での提案が可能であることもアピールする考えだ。

〈日本基準で高品質/環境配慮型機能素材も紹介/モリリン〉

 モリリンは“日本基準”を満たす高品質・高機能の糸・生地をそろえる。中国・韓国で生産する糸の加工・撚糸技術や生地の品質管理を含む具体的な取り組みも紹介。再生原料使いなどで環境配慮型の機能素材も訴求する。

 日本の技術と品質を世界に発信・販売する目的のもと「モリリン・ジャパン・クオリティ・サプライ」(M・J・Q・S)をテーマに掲げる。韓国製では複数の機能を持つ、色数が豊富なカラー原着糸「モコフィーロ」を軸にアピール。産業資材や輸送機械向け、椅子張りなどの用途に広く活用されている。自社工場のモリリン・ファイバー・コリアで生産する。

 日本基準の生産技術や品質管理の指導を施した中国製の糸・生地も披露。高品質な商材の供給に生かす。ダブルツイスターやタスラン加工、インターレース加工などで特徴や機能を付与した加工糸もそろう。

 環境配慮型で、機能・特徴を付与したオリジナル素材も打ち出す。再生マイクロポリエステル原料使いフルダル糸「エムプラス」は綿タッチで糸の表面の毛羽立ちも少なくしてピリング発生を減少。透け防止や、紫外線遮蔽(しゃへい)機能などを併せ持つ。

 再生PET原料使いの吸水速乾素材「クールマックス・エコメイド」や保温素材「サーモライト・エコメイド」は糸と生地で扱う。129色と豊富な色数を持つ。