東レ ファイバー・産業資材事業部門/新規用途・顧客を70テーマで開拓

2022年06月08日 (水曜日)

 東レのファイバー・産業資材事業部門は2022年度、原燃料高などに伴うコストアップを転嫁するための値上げの浸透を急ぐとともに、一つ先の工程に踏み込んで開発した商材で新規用途・顧客を掘り起こす“プロジェクトI”を推進する。22年度で70テーマを具体化し20億円の売り上げを見込む。これらの取り組みで22年度は、「19年度並みの業績に戻す」(赤江宏一ファイバー・産業資材事業部門長)方針だ。

 5月1日出荷分から  値上げに取り組んでおり、「川下の方にも勇気を持って販売価格を上げていただきたい」と言う。

 プロジェクトIは糸・わた売りだけでなく一歩、先の工程に踏み込んで開発した生地、2次製品の提案で新規商流を開拓する取り組み。20年度下半期からスタートさせた。21年度は防獣ネット、建築資材、寝装・寝具、インナー・肌着などの40テーマを具体化し、15億円の売り上げを計上した。

 22年度は羽毛代替、製品のモノマテリアル化、素材のサステイナブル化で高度化した商品群、新たな海外市場の掘り起こし、ニッチな分野への新素材投入といった70テーマに取り組んでおり、20億円の売り上げ計上を目指す。進行中の案件を共有するために7月、社内で発表会を開催する計画だ。

 回復が遅れるナイロン長繊維事業では、台湾勢には作れないという11デシテックスクラスの細繊度ブライト糸の拡販を計画する。下半期からケミカルリサイクル事業も本格的に立ち上げ、サステイナブルを求める旺盛なニーズを取り込む。

 アクリル短繊維でもサステイナブルを意識した新展開を考えており、「下半期のどこかで新しい取り組みをスタートさせたい」との意欲を示す。

 産業資材向けでは、国内外のどの拠点で生産すれば税制やリードタイム面で有利に展開できるかを考慮しながら、引き続きエアバッグ用ナイロン66事業で拡大を図る。