東レ 不織布・人工皮革事業部門/さらなる増設検討へ/「ウルトラスエード」で

2022年05月30日 (月曜日)

 東レは2022年度、不織布、人工スエード「ウルトラスエード」の両事業でともに前期比増収増益を見込んでいる。ウルトラスエードについては、23年度から始まる次期中期経営課題に「増設を盛り込みたい」(平井正夫不織布・人工皮革事業部門長)と言う。

 ウルトラスエードの年産規模を19年に1千万平方メートルに増やした。昨年後半からフル稼働している。22年度も自動車内装材向けを伸ばしていく方針だ。先にトヨタ・レクサスの「RZ」やBMWのEV「iX」に採用された。

 現在の年産1千万平方メートル体制では「早晩、供給が追い付かなくなる」と懸念しており、さらなる増設を次期中経で検討する。

 ウルトラスエード全販売量の70~80%が既に環境配慮型になっている。今後はバイオ原料使いの開発に重点を置き、30年度をめどに全量をエコ化する。

 不織布事業では、紙おむつ向けのポリプロピレン(PP)スパンボンド、ポリエステルスパンボンド「アクスター」を展開している。

 中国での紙おむつ需要の伸び率鈍化を踏まえ、「PPでは今後の方向性を再検討する必要がある」とする。中国では、長らく続いた一人っ子政策の影響で子供にかけるお金が増えるとみており、ソフト化、軽量化などで付加価値を高めた原反の開発・拡販に力を入れる。インドネシアやインド向けでは、販売量の拡大を目指す。

 アクスターでは、低目付け品をそろえ、新規用途を掘り起こす。主力のフィルター用途では欧米や中国向けで拡販を計画する。

 東レは長短総合不織布メーカーを、目指すべき企業像として掲げる。PPS繊維「トルコン」と耐炎繊維で開発した難燃資材「ガルフェン」が航空機の座席用ファイアーブロックに採用されている。トルコンやフッ素繊維「トヨフロン」による素材開発により短繊維不織布のバリエーション拡充に取り組む。