東レ/今期に次期中経策定へ/安心・安全やサステ対応を

2022年05月26日 (木曜日)

 東レは、2023年度(24年3月期)に始動する次期中期経営課題の策定に入る。新型コロナウイルス禍をはじめ、さまざまな変化が起こる中で安心・安全などへの関心が高まっているとし、新計画にはそれらへの対応を盛り込む。繊維事業も安心・安全やサステイナビリティーに資する製品の展開を拡大する。

 現中経は今期で最終年度を迎えた。成長分野での事業拡大、グローバルな事業の拡大・高度化、競争力強化の三つの基本方針を掲げて施策を進めてきたが、新型コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などもあって当初計画とは隔たりもできた。厳しさは残るが、各課題をクリアして完遂を目指す。

 同時に次期中経の策定作業を進める。日覺昭廣社長は「近年は米中貿易問題に始まり、新型コロナ禍、異常気象、ロシア・ウクライナ問題など不可逆的な変化が起こり、安心・安全やサステイナビリティーへの要求は大きくなっている」とし、それらへの貢献をベースに計画を作る。

 繊維事業でも安心・安全やサステイナビリティーへの貢献に目を向ける。サステイナブル社会の実現を目指す事業ブランド「&+」(アンドプラス)の拡大やバイオマス由来素材の展開に力を入れる。5~10年先を考えた時にはサーキュラーエコノミー(循環型経済)への対応も不可欠になるとした。

 利益率向上も課題と捉えている。革新複合紡糸技術「ナノデザイン」を駆使して付加価値を高めるほか、サプライチェーンの深化によって利益率を高める。スエード調人工皮革「ウルトラスエード」の設備増強の検討、東南アジア拠点の事業構造改革の継続などにも取り組む。