東洋紡せんい/スポーツ、ユニフォーム、マテリアルにも重点/非衣料分野開拓もテーマ

2022年05月23日 (月曜日)

 東洋紡グループの衣料繊維事業会社として4月に発足した東洋紡せんいは、強みとする輸出織物事業とスクール事業に加え、スポーツ、ユニフォーム、マテリアルの3事業にも改めて重点的に取り組む。清水栄一社長は「特にスポーツ、マテリアル、ユニフォームの3事業は積極的な事業運営で新会社として“リ・スタート”した成果を出す」と話す。

 スポーツ事業は、これまで東洋紡の子会社だったスポーツウエア・水着縫製のトーヨーニット(三重県四日市市)が東洋紡せんいの傘下に移管されたことを生かし、生地と縫製品をともに軸にした運営を進める。清水社長は「自社の生地の強みを発揮することが重要」として、生地販売の拡大と自社生地を活用した縫製品事業の拡大を進める。

 国内産地の委託生産企業やインドネシアの編み立て・染色子会社である東洋紡マニュファクチャリングインドネシア、縫製子会社のSTGガーメントなど充実した生産ネットワークを持つことも強みとして打ち出す。

 ユニフォーム事業は、ワークウエアやサービスユニフォームに向けて強みのあるポリエステル長繊維使いやニット素材を活用した新商品を積極的に投入する。生地販売から縫製、配送までの機能を持つ東洋紡ユニプロダクツと統合したことも生かし、素材から縫製品、物流までの総合サービス力を強みとする。

 原糸やインナー素材、寝装生地が主力のマテリアル事業は、生産拠点をマレーシア紡織子会社の東洋紡テキスタイル〈マレーシア〉へ集約することを生かし、取引先のASEAN生産オペレーションに積極的に参画することで業容拡大を目指す。そのため5月からマレーシアに専門チームも置き、営業体制を強化した。

 非衣料分野の開拓にも取り組む。マテリアル事業部が綿糸や綿製品の裁断くずをプラスチック強化材として利用する提案を開始した。生分解性樹脂との組み合わせや、廃棄繊維のアップサイクルなどSDGs(持続可能な開発目標)実現への貢献も含めた仕組み作りを進める。

 清水社長は「衣料繊維をベースに利益基盤を確立することが東洋紡せんいの使命。そのためにはスクール事業と輸出織物事業だけでなく、スポーツ、ユニフォーム、マテリアルの3事業の強化が欠かせない」と強調する。

〈営業大幅減益に/東洋紡STC 3月期〉

 東洋紡STCは2021年度から収益認識に関する会計基準を適用しており、22年3月期単体決算は売上高343億1100万円、営業利益3億7700万円(前期比58・7%減)、経常利益5億4500万円(8・1%減)となった。

 繊維部門では、スポーツアパレルの回復が遅れたほか企業別注、備蓄向けが低調だったユニフォームが減収となった。インナーでは業績を改善。輸出織物は円安の追い風も受け堅調に推移した。

 高機能材部門では、国内フイルムで前年並みを維持。海外フイルムでは「コスモシャインSRF」の販売を伸ばし増収を達成した。機能樹脂は堅調に推移。エンジニアリング・プラスラスチックも回復した。

 23年3月期では、東洋紡STCが売上高135億円、営業・経常利益10億円、東洋紡せんいが売上高300億円、営業・経常利益4億円の見通し。