PTJ23春夏(5)/独自の生地で勝負!/豊島/近江織物/アルテックス/日本蚕毛染色

2022年05月18日 (水曜日)

〈フードテキスタイルを軸に/豊島〉

 豊島は廃棄予定の食材をもとに染料として活用する「フードテキスタイル」を軸に、プロジェクトの幅を広げる。衣類や雑貨に加え、インテリアや資材など非衣料向けにも導入を進める。

 これまではニットが多かったが、今回もインビスタのコーデュラをフードテキスタイルの染料で反染めした生地を展示。合繊メーカーとの協業を機に、布帛の品種が増えるため多用途への使用が見込める。

 色数も500色以上そろい、使う食材でテーマ性を持った提案が可能。漢方薬や胃薬の薬草を健康志向のインナー向けに打ち出すなど、提案の引き出しを増やす。

 今後は天然染料としての活用法も模索する。

〈IJで小口・短納期訴求/近江織物〉

 短繊維織布・染色整理加工の近江織物(滋賀県東近江市)は新型コロナウイルス禍での出展見送り期間を除いて春夏展にはPTJ初回から継続出展してきた。これまでは社内に織り染め晒加工の設備を持つことによる短繊維織物製造での総合力をPRしてきたが、今回はあえてインクジェット(IJ)捺染一本で訴求。

 従来受注生産のみだったIJ捺染はこのほどスタッフを充実させ自社企画力を強化。今回は出展品の8割を自社の図柄企画品で占めた。ミニマムロット50㍍から、マス見本で1週間~10日、本生産で2週間の小ロット・短納期対応と併せて即応力を前面に押し出す。

〈天然繊維使いを軸に/ミナミ〉

 丸編み地中心の生地商社、ミナミ(大阪市北区)のPTJ出展は4年ぶり。新型コロナウイルス禍でも事前アポイント制で個展を開いてきたが、業績の反転と社員研修の意味を兼ねて、久しぶりに出展することにした。得意の天然素材を軸に、サステイナブルの要素を加えて提案する。

 レディース向けには、リネンやヘンプ使いを充実させるほか、透け感を重視する。綿75%・リネン25%の厚手の裏毛は硫化染めによって発色性を高めている。

 このほか、綿100%の先染めストライプの裏毛、綿100%のフレンチアンティークボーダーなど、国内産地との取り組みによる独自の編み地を取りそろえる。

〈複合加工品を前面に/アルテックス〉

 別注プリント地が主力の生地商社、アルテックス(京都市)は4回連続の出展となる。今回はプリントを含めた、さまざまな後加工品を前面に打ち出す。その一つが塩縮加工品に2次、3次加工を施したもので「手の込んだ当社らしい生地を提案し、企画力・技術力を持つ企業である点も訴求しながら新規開拓に結び付けたい」と意気込む。

 その他、アルガンオイル、シルクプロテイン、シュガースクワラン、ウンデシレン酸モノグリセライドを後加工により付与する「アルガンベール」もコーナーを設ける。機能性に加え風合いの良さが評価され、婦人服以外にスポーツ、紳士服と用途が広がっている。

〈洗える絹糸織物開発/日本蚕毛染色〉

 原綿染色加工の日本蚕毛染色(京都市)は洗えるシルク生地「セレーサカルメン」の新タイプ、絹糸織物を開発した。PTJで初披露する。これまでは絹紡糸使いの編み地が中心だったが、絹糸によるサテンなどを求める声に応えて開発した。

 セレーサカルメンは家庭洗濯100回でもスレにより白化や収縮が起こらず、光沢感、ソフト性、保湿性などシルクが持つ特性を維持し、消臭性やUVカット性もある。

 これまではインナー向けに絹紡糸による編み地が主体だったが、絹糸織物の開発で婦人服や寝具、パジャマなどの開拓を目指す。同展ではサテン、シフォン、ツイルなどをそろえ、縫製品も展示する。

〈5者混など技術力披露/スタイレム瀧定大阪〉

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)の事業本部第一事業部テキスタイル1部17課は今回が2回目の出展。国内産地との取り組みによる独自の開発生地とその備蓄機能、サステイナブル関連生地などを訴求する。

 キュプラ繊維100%織物の「洗えるキュプラシリーズ」は、シルキーな光沢と適度なハリ感が特徴で、洗濯後のシワも軽減している。無地、プリント、ちりめん、ジャカードで展開する。

 キュプラ繊維、和紙、ポリエステル、綿、ナイロンの5者混ジャカード織物は、和紙使いによる軽さと程よいハリ感が特徴。「日本の技術が詰まった生地」として提案する。