22年3月期決算

2022年05月17日 (火曜日)

〈繊維損失が拡大/ユニチカ〉

 ユニチカは当期から収益認識に関する会計基準を導入し、連結は売上高1147億円、営業利益60億500万円(前期比0・2%減)、経常利益63億9900万円(18・9%増)、純利益22億2300万円(42・5%減)となった(短信既報)。

 当期は売上総利益率を前期の24・6%から24・2%に悪化させたものの、為替差益14億円の計上などで前年並みの営業利益を確保した。減損損失21億円、固定資産処分損10億円を計上した。

 機能資材事業は原燃料の高騰や海上物流混乱の影響で増収大幅営業減益。繊維事業は前年のコロナ特需がなくなったため、大幅減収となり営業損失を前期の3億6800万円から6億1千万円に拡大させた。23年3月期は売上高1260億円、営業利益55億円、経常利益33億円、純利益15億円を見込む。

 ユニチカトレーディングの連結は売上高246億円(30・7%減)、営業損失4億円(前期は5億円の利益)、経常損失3億円(同)、純損失2億円(3億円の利益)となった。

 ユニフォームやレディース向けの販売が緩やかに回復したものの、昨年のコロナ特需がなくなり厳しい決算となった。

 23年度は環境配慮型素材の拡販、デジタル化対応、シキボウとの協業に力を入れ業績回復を目指す。23年3月期では売上高278億円、営業利益900万円、経常利益3500万円、純利益1100万円を見込んでいる。

〈生活衣料事業が大幅増益/富士紡HD〉

 富士紡ホールディングス(HD)の連結は、売上高359億円(前期比2・8%減)、営業利益58億7700万円(11・2%増)、経常利益60億4500万円(10・9%増)、44億5500万円(3・2%増)だった(短信既報)。生活衣料事業(旧称・繊維事業)などの利益が拡大し、減収ながら増益を確保した。

 生活衣料事業は、売上高69億8800万円(1・1%減)、営業利益7億5900万円(約3・4倍)で大幅な増益を達成。顧客の購買動向に応じた収益性の高い製品に絞りこんだことで採算が改善した。インターネットなどの新規チャネルの販売も堅調に推移した。

 今期の業績予想は、売上高365億円(1・6%増)、営業利益62億円(5・5%増)、経常利益64億円(5・9%増)、純利益45億円(1・0%増)。

〈繊維は減収増益/オーミケンシ〉

 オーミケンシの連結は売上高39億8千万円(前期比41・4%減)、営業利益1億7500万円(前期は1億8700万円の損失)、経常利益3100万円(同3億5200万円の損失)となり、事業撤退損など特別損失を計上したことで純損失3億7500万円(同10億4千万円の利益)だった(短信既報)。

 繊維事業は売上高24億8千万円(52・7%減)、営業利益1億3400万円(36・4%増)だった。引き続き不採算事業からの撤退など事業再構築を進めたことで大幅減収ながら採算が改善した。

 今期は連結売上高40億円(0・5%増)、営業利益2億5千万円(42・6%増)、経常利益1億円(218・3%増)、純損失4億円を見込む。

〈海外事業拡大し黒字化/ワコールHD〉

 ワコールホールディングス(HD)の連結(米国基準)は、売上高1728億円(前期比13・6%増)、営業利益50億1300万円(前期11億1500万円の損失)、税引き前純利益72億4600万円(32・9%減)、純利益46億800万円(34・4%減)だった(短信既報)。海外が拡大し、営業損益で黒字浮上を果たした。

 国内ワコール事業は、売上高881億円(2・3%増)、営業利益23億1900万円(3・7倍)で増収大幅増益。前期に大きく伸長した自社ECは、新規顧客の獲得で苦戦したが、既存顧客への販売が好調だった。店頭ベースでの売上高は低調に推移した。

 海外ワコール事業は売上高596億円(44・3%増)、営業利益23億5100万円(前期26億300万円の損失)で、過去最高の売り上げを記録し、黒字化を果たした。主要エリアで好調な動きを示し、売上高は新型コロナウイルス禍前の水準を上回った。

 ピーチ・ジョン事業は売上高125億円(2・7%増)、営業利益16億5100万円(3・8%増)で増収増益。

 IFRSを任意適用する今期の業績予想は、売上収益2050億円、事業利益70億円、税引き前利益80億円、純利益55億円。

〈赤字幅が改善今期は黒字へ/山喜〉

 山喜の2022年3月期連結は、売上高96憶6200万円(当期から「収益認識に関する会計基準」を適用したため前期比は記載せず)、営業損失10億2600万円、経常損失9憶5700万円、純損失13憶3600万円となった(短信既報)。

 収益認識に関する会計基準を適用しない場合は、減収減益だった。ネット販売が伸びるなど好転の兆しも見えたが、新型コロナウイルス禍による影響で個人消費は依然として低迷しており、売上高全体の減少を補えなかった。希望退職を募るなど人件費を含む固定費の削減を実施し、赤字幅は前年同期に比べ縮小した。

 23年3月期はオリジナルブランドの構築やネット通販の強化といった施策を打ち出し、売上高115億円、営業利益5千万円、経常利益1億円、純利益8千万円の黒字に浮上する見通し。