クラボウ新中計/成長市場に経営資源集中/最終年度売上高1600億円

2022年05月16日 (月曜日)

 クラボウは、新たな3カ年中期経営計画を発表した。最終年度となる2025年3月期に売上高1600億円、営業利益96億円、経常利益102億円、純利益72億円を計画する。藤田晴哉社長は、「高収益事業の拡大と持続可能な成長に向けた基盤事業の強化を基本方針とし、変化の激しい環境下でも持続的な企業価値向上を実現する事業ポートフォリオを構築する」と話す(セグメント別数値目標は表参照)。

 新中計では、「半導体」「FA(ファクトリーオートメーション)・ロボット」「インフラ」「環境・エネルギー」「医療」などを成長市場と位置付け、これらの市場に向けた機能素材、機能フィルム、半導体製造関連、自動化・制御機器を注力事業として経営資源を集中投下する。繊維、住宅用建材、軟質ウレタン、食品、不動産は基盤事業と位置付け、生産現場でのデジタル化やQRを強化し、生産効率向上とコスト削減を進めることで安定収益を確保することを基本方針とする。

 繊維事業は独自技術を活用した高機能素材やサステイナブル素材の販売拡大と、サプライチェーン全体を意識したQRと生産性向上を重点施策とする。従来型の“モノ”中心の販売ではなく、アップサイクルシステム「ループラス」や熱中症対策スマートウエア・システム「スマートフィット」など“コト”に重点を置いたビジネスモデルへの転換を進める。これによる中計初年度の23年3月期に営業黒字化させ、その後も安定利益を確保する体制を構築する。

 そのほか、研究開発活動の強化による新規事業創出と早期収益化、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献、多様な人材の活躍推進を中計の全社重点施策として掲げる。