帝人フロンティア/ゴム補強用に新ナノ素材/補強効果と環境負荷低減

2022年04月26日 (火曜日)

 帝人フロンティアはこのほどタイヤ、ホース、ベルトなどに使用される従来のゴム補強材よりも補強性能に優れ環境負荷低減にも貢献するゴム補強用ポリエステルナノファイバー短繊維を開発した。2023年から生産を開始し、27年度で10億円の売り上げを計画する。

 ゴム製品には補強効果を高めることを目的に短繊維を補強材として使う。補強効果は繊維の強度のほかに長さによって補強効果が高まるとされる。一般的には数ミリから数十ミリの長さが求められている。

 しかし、長ければ長いほどゴムへの練り込み工程で絡みやもつれが発生し、繊維の分散性低下で補強効果が低減することが課題だった。最近は環境配慮への高まりから温室効果ガス排出削減を目的に高分子量化や表面処理などの工程削減ニーズが高まっている。

 同社は短繊維の断面をポリエステルナノファイバーとポリエチレンの2種類のポリマーを配した海島複合断面にすることで、少量の添加で従来品と同等以上の補強効果が得られ、環境負荷も低減するポリエステルナノファイバー短繊維を開発した。

 タイヤでは、高弾性化や転がり抵抗の低減に寄与するため、燃費向上、騒音低減が期待できる。ホースやベルトでは、困難だった高弾性率と優れた耐久性が両立できるという。