三陽商会「ポール・スチュアート」/根強いスーツが下支え/カジュアル偏重と差別化

2022年04月26日 (火曜日)

 三陽商会が展開する紳士服「ポール・スチュアート」は、通年でスーツ需要を取り込んでいる。昨年来、緊急事態宣言の発令・延長による外出自粛に振り回されたが、ブランドの強みであるビジネス用スーツなど重衣料が下支えした。

 同社では「過度なカジュアルウエアに振れず、実直に重衣料を提案してきた。結果的に顧客の信頼につながった」と分析する。新型コロナウイルス禍前の2019年比で7割程度の品番数に絞り込み、併せて商品の発注量も減らしていた。守勢ながらもスーツを並べていたことで「新規顧客も増えている」と話す。

 実店舗の集客が回復傾向にあり、3、4月の売り上げは前年同月比30%増で推移。東京都港区にある旗艦店、ポール・スチュアート青山本店は4月度に50%増と売り上げが急回復し、いずれもビジネス用スーツやセレモニー対応のジャケット、スーツがリード商品になった。

 無地のネービータイプやストライプ柄、ダークグレーといったスーツが動いている。パターンオーダー(PO)も堅調で、主要顧客であるエグゼクティブ層の買い替え需要に合致したようだ。

 22秋冬シーズンは、スーツでビジネス、セレモニー需要に応えるほか、インナーに合わせるカシミヤ混ニットウエアを拡充する。尾州産地で調達したオリジナル生地でスーツを提案するほか、新常態を意識したジャージー素材のジャケット、ブレザーもそろえる。

 ブランドの特色を濃く打ち出すコレクションラインでは、スコットランドの自然環境から着想した色彩を採用。ツイードやニットウエアを、淡いパステルカラーやスモーキーな色で表現する。コーデュロイジャケットでは、特徴的な“シーグリーン”をキーカラーにしている。