スタイレム瀧定大阪/信頼されるサステを/5千種の生地を完全追跡

2022年04月07日 (木曜日)

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)は、デジタルとサステイナブルを重要テーマに位置付けつつ、高度なトレーサビリティーによってその信頼性を高める。

 同社は約5千マークのオリジナル生地を販売する。そのうち約千マークがオーガニックコットンや再生素材、フッ素フリーなど何らかのサステイナブル要素を含む。これらを「エコアーチ」という総称ブランドで拡販しており、質、量ともに今後もサステイナブル商材を拡大させていく。

 その際にこだわるのがトレーサビリティー。昨年にはサステイナブル商材の販売を社内で認可する認証制度を設けた。また社内基幹システムの活用により5千マークの生地全てのトレーサビリティーを確保、それをデータ化している。前期方針にデジタル化の推進を挙げ、急ピッチで同方針に取り組んだ結果だ。綿花の産地まで追跡し、欧米ブランドが忌避する新彊綿から他産地綿への置き換えにも役立てている。

 デジタル化については、独自の3Dモデリングシステムの普及も急ぐ。

〈海外市場向けがけん引し増収増益/22年1月期〉

 スタイレム瀧定大阪の2022年1月期連結決算は、売上高が691億円(前期比9・2%増)、営業利が25億300万円(約30倍)だった。22年1月期からグループ内取引とそれによって発生した未実現損益を連結消去しているため、21年1月期の数値は当時の発表数値とは異なる。

 品目別売上高は、原料が18億円(8・2%増)、生地が417億円(11・4%増)、衣料製品が281億円(10・9%増)、ライフスタイル製品が36億300万円(18・4%増)だった。

 全部門が増収だったが、一昨年比では約20%減と、まだ新型コロナウイルス禍前には戻っていない。

 増収に最も貢献したのは、17%増だった海外市場向け生地販売。中でも中国市場向けは30%増と大きく伸びた。国内向け生地販売は微増だった。

 増益には21年1月期中に実施した在庫処分など構造改革が寄与した。

 単体決算は、売上高が624億円(7・5%増)、営業利益が12億5200万円(前期は4億6600万円の損失)、経常利益が20億6100万円(5億5900万円の損失)、純利益が20億7800万円(27億400万円の損失)だった。

 契約社員含む期末人員は前年同期から約70人減少して533人。

 今期も増収を見込むが、利益については「コスト高や世界情勢の変化によって非常に不透明」として開示していない。