特集 メディカル・介護ウエア2022(6)/2022年の注目商品/ウエア機能で医療従事者をサポート/ミドリ安全/クラシコ/エムズ/帝人フロンティア

2022年03月25日 (金曜日)

〈接触冷感トリコット生地開発/ミドリ安全〉

 ミドリ安全は、ブランド「ベルデクセルメディカル」のVEM300上シリーズとVEM90下シリーズで接触冷感トリコット素材を新たに開発。従来の肌触りに加え軽量化に成功した。

 ベルデクセル機能(新立体裁断構造)の動きやすさは継続採用し、胸元に顔をイメージさせるカッティングを施して“つながる”を連想させる男女兼用シリーズ。チュニック7900円、パンツ6800円。共にポリエステル77%・トリアセテート23%。

〈ジェラート ピケとコラボ/クラシコ〉

 テーラード技術を取り入れた白衣を展開するクラシコは、マッシュスタイルラボ(東京都千代田区)が展開するルームウエアブランド「ジェラート ピケ」と5度目のコラボレーションに取り組み、看護師、医療従事者向け白衣、スクラブなどを展開。

 新作のデザインテーマは「パターン」。今回はジェラート ピケのファッションコレクションの中でも愛らしく人気の高いモチーフから、ベア、アイス、フラワー、イチゴ、雲、スターをセレクトした。どのようなシーンの医療現場でも着やすいよう、袖口や背裏にさりげなくパターンを配したデザインになっており、袖を通すとき、少しでも心がふわりと軽く温かい気持ちになってほしいとの思いを込めた。

 メインの一つとなる「パターンプルオーバースクラブ」は、それぞれのパターンに合わせたカラーリングでジェラート ピケの世界観を表現。ブルーラベンダー、ライトブルー、新色のピンクベージュをはじめ、信頼性や清潔感のあるホワイト、ディープネービー、バーガンディーを合わせて仕上げた。他にプリーツスクラブトップス、スムーズィーライトカーディガン、プリーツワンピース、テーラードプリーツコート、ショルダーバッグを展開。

〈一気通貫の自社対応が強み/エムズ〉

 エムズの介護従事者向けブランド「イロウム」は、飲食、ホテル向けユニフォームで培ったデザイン性と落ち着いた色味が特徴のスクラブを展開。介護施設の高級化や終身ライフスタイル型をはじめとしたハイクラスな施設の増加と、それに伴う介護従事者のプロフェッショナル意識の高まりを背景に高級感のあるデザインとした。

 看護・理学療法士部門のトータルコーディネートも可能な新作スクラブは、兼用スクラブ(ポリエステル80%、綿20%)、同(ポリエステル100%)、兼用ジップアップスクラブ(ポリエステル86%、綿14%)などをラインアップ。

 主にサービス業向けのユニフォームの企画から生産、販売までを自社で一気通貫の対応ができる点を強みとするだけに、イロウムでも同様の展開を図っていく。

〈機能性や環境対応に注力/帝人フロンティア/タイでの生地生産も視野〉

 帝人フロンティアは、2022年度(23年3月期)のメディカル・介護ウエア向けの生地販売で、21年度比10~15%の売り上げ増を狙う。機能性を付与した付加価値の高い生地を継続提案するとともに、環境負荷低減に貢献する素材の打ち出しも強化する。またタイの拠点を活用したオペレーションも増やす。

 メディカルウエアは底堅い需要を維持している。着心地(風合い)に対する要望やカラーバリエーション、耐久性をはじめとするさまざまな機能が求められている。介護分野については小規模事業者も多く、制約も少なくないが、高齢者の増加などもあってウエアの需要は高まると予想されている。

 そうした状況下で同社のメディカル・介護ウエア向け素材販売は着実な成長を遂げる。20年度は19年度と比べて10%の増収を確保し、21年度は20年度を10%上回る水準で推移している。ただ、原燃料・原材料価格高の影響が大きく、自助努力による吸収はもちろん、販売価格への転嫁も喫緊の課題になる。

 21年度の10%増は主としてメディカル分野がけん引したが、以前から展開している織物やトリコット生地のニーズが安定した動きを見せたと言う。そのほか、汗染み対応の「デュアルファイン」、ストレッチ性が特徴の「コンフェスト」といった機能性生地の人気も高かった。

 デュアルファインは、ポリエステルの撥水(はっすい)糸を使った撥水層を持つ生地構造によって汗をかいても汗染みが目立ちにくく、蒸れにくい素材。洗濯を繰り返しても高い機能性を維持する。コンフェストは寸法変化を抑えながら着用快適性、防透け性などの機能を兼ね備える。工業洗濯などにも対応する。

 22年度からは新たな試みの一つとしてタイでメディカル・介護ウエア用生地の生産に着手する。ポリエステル長繊維織物の製造・販売を行うタイナムシリインターテックスを活用する。タイでのメディカルウエア用生地の生産はゼロに近いが、同拠点は食品向け白衣を生産しており、それらの技術を生かす。

 タイでは、ポリエステル長・短繊維の製造・販売を行うテイジン・ポリエステル〈タイランド〉が同国産のリサイクル原料(ボトルフレークス)を使用し、高品質なポリエステル長繊維の生産に用いるマテリアルリサイクルチップの製造設備を新設。両拠点の連携による環境対応素材の提案も視野に入れている。

 介護ウエアでは、ベトナムやインドネシアの縫製協力工場を活用した製品一貫生産にも取り組みたいとしている。

 メディカルウエアは人の生命に関わる分野であり、スポーツやアウトドアをはじめとする他の分野と比べると環境対応素材の引き合いは少ない。衣料素材本部ユニフォーム部の杉本伸介部長は「日本とタイの両方で再生ポリエステルが生産できることを顧客に伝えて潜在需要の掘り起こし」を狙う。

 環境負荷低減では再生ポリエステルの「エコペット」に加えて、部分植物由来ポリエステルの「プラントペット」なども用意している。エチレングリコール(EG)を植物由来に切り替えたポリエステルで、化石資源の消費が抑えられるほか、温室効果ガスを削減することが可能。物性や品質面は化石由来品と変わらない。

 エコペットとプラントペットともにセミダル、フルダルタイプをラインアップしている。特にエコペットはさまざまな機能と組み合わせることで付加価値を高める。素材提案だけでなく、「顧客と一体となり全体で環境負荷低減に取り組みたい」(杉本部長)とした。

 メディカル・介護ウエア用を含むユニフォーム素材を提案する内見会を大阪と東京の2都市で開催する。大阪展は4月12~14日に大阪本社で、東京展は同月20~22日に東京支社で。