特集 ボディー&レッグファッション(2)/アツギ/ナイガイ/三笠/東洋紡STC/MIC

2022年03月17日 (木曜日)

〈アツギ/商品部 マネージャー 井上 優哉 氏/主力レッグブランド刷新〉

 21秋冬のレッグウエア市場は、緊急事態宣言が解除されて以降需要が回復するのではないかと期待していたのですが、実際にはストッキングとタイツともにそれほど大きな動きがありませんでした。今年に入り、まん延防止等重点措置が適用されるなど、盛り上がりを欠いたまま過ぎてしまいました。

 当社は、おおむね前年と同じぐらいで推移しましたが、新型コロナウイルス禍前の19秋冬のレベルとはまだ開きがあります。全般的に厳しい状態ではあったのですが、黒の糸とベージュの糸を編み込み、黒ストッキングをはいているようなタイツ「フェイクタイツ」は人気を博しました。

 22春夏に向けては、プレーンストッキングの主力ブランド「アスティーグ」をメイン商品として打ち出します。22春夏物で刷新を行い、11種類のラインアップに、着用快適性やパッケージの利便性も向上するなど、生活者に寄り添うブランドに生まれ変わりました。

 国内生産拠点のアツギ東北での生産を終了し、中国の2拠点に集約します。これまで中国でも「アツギクオリティー」でモノ作りを行っており、品質などに問題のない商品が届けられます。

〈ナイガイ/商品部 商品部長 小山 雄大 氏/エッセンシャルウエアを〉

 21秋冬シーズンは、昨年10月までは天候不順などもあって厳しさが見えましたが、11月以降は店舗に人が戻り、クリスマス商戦も重なったことで比較的順調でした。11月から今年1月までの販売は特に婦人が好調で、前年と比べて35~40%増えました。19年には及びませんが、回復していると実感しています。

 22春夏は新型コロナウイルス禍によるまん延防止等重点措置適用で2月の店頭は厳しい状況でした。とはいえ、前年と比較すると10%増で推移しました。3回目のワクチン接種も進んでくるでしょうし、4月から6月にかけての市場活性化に期待しています。

 拡販のための施策として、生活に必要不可欠なエッセンシャルウエアを追求しており、その一環として美容や睡眠に関連するインナーをレッグ売り場で提案しています。美容は弱酸性の素材を使ったインナーとレギンスを投入し、睡眠はシルクを使ったトップスとショーツをそろえています。

 環境対応にも目を向け、東レの事業ブランド「&+」(アンドプラス)やクラボウのアップサイクルシステム「ループラス」と連携しています。フックの紙化などにも対応しています。

〈三笠/社長 甘利 茂伸 氏/綿花栽培プロジェクト始動〉

 2021年12月期を振り返ると、前期比3%の増収でした。前半は無店舗での販売が好調に推移し、後半は冬物の動きが良好でした。ただ、新型コロナウイルス禍で売れ筋商品が中国から入荷できなくなるといった状態が1カ月ほどありました。それがなければ売り上げはもっと伸びていたと思います。

 22年度は新規顧客の開拓を含めてさまざまな取り組みを進めていきます。その一つが、24年に稼働開始予定の新工場に隣接する土地での綿花栽培です。当社単独ではなく、奈良県大和高田市や地域と連携して実施したいと考えています。4月に種付けを行いますが、まだ実験段階です。

 綿花栽培は小・中学生にも参加してもらいたいと思っています。新工場も見学できるように設計を少し変更しました。これらによって子供たちの興味を高め、奈良県の靴下工場に就職する人を増やしたいですね。

 販売施策・顧客開拓では、人気商品である足つぼソックス「ツボレシピ」の英語版を作って欧州にも広げます。つぼの文化はありませんが、マッサージ感覚で親しんでもらえるのではないでしょうか。スポーツ用品展示会「ISPO」への出展を検討しています。

〈東洋紡STC/オーガニック使い前面に〉

 東洋紡STCは23春夏向けのインナー・肌着素材として、サステイナブルを意識して開発した綿を重点的に打ち出す。

 同社は綿を改質し高機能を持たせた商品ラインの拡充に力を入れてきた。中でも、オーガニックコットンで商品化した吸汗速乾「爽快コット―O」、消臭「デオドラン―O」を年間企画として打ち出しており、23春夏でも拡販を計画する。

 サステイナブルへの潮流を意識し、オーガニックコットンの商品ラインをレーヨン混、モダール混で広げる商品開発にも取り組んでいる。

 新型コロナウイルス禍の拡大に伴い清潔を求めるニーズが高まり、抗ウイルス性能が特徴のアクリレート繊維「ヴァイアブロック」、ポリエステルへの後加工「ナノバリアー」が昨年来、引き合いを集めていたが、現在は落ち着きを取り戻しているという。

 両素材をインナー・肌着向けだけでなく非衣料・資材分野を開拓するため、マスク向け不織布での拡販にも力を入れてきた。サステナブルマテリアル展への継続出展でマスクでの取り組みを引き続き強化する。

 新型コロナ禍で20年度は苦戦したものの、21年度は黒字転換できると見ており、22年度は「少なくとも前年並みを維持する」との方針を掲げている。

〈MIC/インナーとアウター融合の製品〉

 インナーウエアのOEM・ODMを行うMIC(神奈川県厚木市)の自社製品「NICENICE MOMENT」(ナイスナイスモーメント)が注目を集めそうだ。独自技術を駆使したインナーとアウターを融合したウエアで、20代から40代まで幅広い層に提案を行っている。

 アウターのシルエットに合わせたミニマルなインナーが一体になっている。カップ付きのルームウエアやワンマイルウエアは珍しくないが、パターン技術に加えて、独自のブラカップやパワーネットを採用することによって締め付け感のない着け心地としっかり感を両立している。オーガニック綿や再生ポリエステルなど、環境に配慮した素材を使う。

 アイテムはワンピースやアメリカンスリーブトップスなどがそろう。価格帯(税抜き)は1万~2万円。2021年春にデビューし、同社運営のセレクトショップ「ホテルパールナインティーン」やECサイトで販売。昨年には同ブランドの旗艦店をルミネ新宿LUMINE2に開設した。

 東京都内や地方主要都市の百貨店でのポップアップ展開も行う。5年で3~5億円に、10年で10億円規模のブランドに育てる。