新たなステージへ 素材メーカー系商社のいま(4)/クラボウインターナショナル/先行投資で市況回復に備える

2022年03月10日 (木曜日)

 クラボウインターナショナルの2022年3月期は、前期比減収減益になる見込みだ。減収には衣料品消費の落ち込みが、減益には原材料や物流費用の高騰が影響した。目下、市況回復後を見越した積極的なアクションプランを推進しており、それも減益要因の一つとなったが、西澤厚彦社長は「必要な先行投資」として前を向いている。

 カジュアル衣料やユニフォームのOEM/ODMが同社の主要事業。クラボウグループの一員としての素材からの商品開発力、新商品提案力、調達供給力が強みだ。縫製品生産の海外拠点としては、中国、インドネシア、バングラデシュ、ベトナムなどがあり、適時適地生産ができることも強み。

 国内にも兵庫県朝来市の竹田事業所、新潟県村上市の村上事業所という2カ所の自社縫製工場を持ち、QR対応、ODM提案力、小口対応などが顧客から好評を得ている。ゼロエミッション化にも取り組んでいる。

 投資中のアクションプランでは、売れ筋商品のタイムリーな供給を実現するため、中国を拠点としたQR体制の強化などに取り組んでいくとともに、開発の面では消費者をわくわくさせるような商品や社会貢献を実現する商品を作っていく。

 新規ビジネスの拡大を課題に挙げる。既に新規ビジネスの創出は専任担当者を配置したことも奏功して進展を見せており、今後も拡大を狙う。会社を挙げてSDGs(持続可能な開発目標)やトレーサビリティーにも取り組んでおり、貧困解消を目的にしたアフリカ綿の使用拡大もその一つ。

 昨年には自社ブランド「エコロジック」も投入。オーガニックコットン、再生ポリエステルという従来のカテゴリーに、生分解性、森林保護、動物愛護、環境配慮という四つのカテゴリーをこのほど新たに加えた。「守備範囲を広げ、対応力を強化していく」

 あらゆるコストが上昇する中、既存事業の収益力改善もテーマになる。新型コロナウイルス禍では海外拠点とのリモートコミュニケーションなどデジタル技術の活用と、ナショナルスタッフの活用、登用が進んだ。この流れを今後も加速させる形で、新たな品質管理システムを構築している。