新たなステージへ/素材メーカー系商社のいま(1)/ユニチカトレーディング/強みのエコで顧客対応強化

2022年03月07日 (月曜日)

 ユニチカトレーディングは2022年3月期決算で売上高255億円、営業損失3億円、経常損失3億円、純損失2億円を見込んでいる。

 新型コロナウイルス禍に伴い前年に発生した厚生労働省からの衣料用ガウンの大量受注という特需がなくなり一転、苦戦に転じたのが21年度の実態だった。

 このため、22年度は新型コロナ禍により大きな影響を受けた衣料繊維事業へのてこ入れを強化し黒字転換を目指すとともに、一昨年4月に発足させた新規事業開発室による取り組みで「新しいビジネスモデルの構築を目指したい」考えだ。

 新型コロナ禍で苦戦したスポーツやユニフォーム、レディースなどへのてこ入れを強化するとともに、自社の強みに位置付ける環境配慮型素材を重点的に投入し衣料繊維事業を立て直す。

 ケミカルリサイクルで生産する再生ポリエステル「エコフレンドリー」やバイオナイロン11「キャストロン」、PLA(ポリ乳酸)繊維「テラマック」、植物由来のPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維による複重層糸「パルパーソロナ」など「豊富なエコの引き出しを持つ」同社の強みを発揮。

 顧客ニーズにきめ細かく対応した開発、企画提案に重点的に取り組み22年度もエコ素材の拡販を計画する。

 新事業開発室が中心となり、消費者目線で商品化した2次製品をECで展開する新規事業の育成にも取り組んでいる。

 これまでに「植物由来の毛布」「空気を織り込んだタオル」「空気を重ねたガーゼケット」「爽やか敷きパッド」「繊維メーカーが糸からこだわったベッドリネン」をクラウドファンディング(CF)サイトの「マクアケ」を通じ投入。5アイテム全てで目標金額を超過達成した。

 今後も2次製品のラインアップ拡充に取り組むとともに、これらをB2Bを通じ既存の顧客にも販売する新規商流開拓に力を入れる。梅雨時に羽毛ふとんを収納するための袋など既に販売実績が付きつつある。

 一方、産業繊維やフィルムなどの非繊維拡大にも意欲を示す。これまではユニチカの商材を販売するビジネスが主力だったが、土木・建築用途などをターゲットに加工度を上げた商材で新規販路開拓を強化し、「売り上げで現状の倍増を目指す」との意欲を示す。

 他社商材の調達にも乗り出していきたいとしている。