帝人/炭素繊維織物を開発/強度とコスト効率

2022年02月21日 (月曜日)

 帝人はこのほど、優れた強度安定性、高いコスト効率を実現した炭素繊維織物を開発した。産業用途やスポーツ用途に向けて販売を開始し2030年度で20億円の売上を目指す。

 パフォーマンスの向上を目的に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は航空機用途、産業用途、スポーツ用途などで幅広く使われている。機械的特性の一層の向上が求められており、そのためには強度の安定化が必要になってくるという。

 強化材として用いる炭素繊維織物に平滑性を持たせることで炭素繊維にかかる応力の集中が緩和されCFRPの強度を安定化させることができる。織物に平滑性を持たせるには糸をより細いものに切り替えるのが一般的という。

 しかし、細い糸ほど高い製造技術が求められるため、細い糸への切り替えがコスト上昇につながるという問題があった。

 帝人は独自の開繊技術の導入で、優れた強度安定性と高いコスト効率を実現した炭素繊維織物の開発に成功した。

 この織物は3K(1本の糸に含まれるフィラメントの千本単位の数、3Kは3千本で構成される)の糸で構成される炭素繊維織物(CFRPにした際の成形厚が約0・2ミリ)を独自の開繊技術で1Kの糸で構成される織物と同じ厚さ(0・15ミリ)にまで薄肉化している。