特集 19thジャパン・ヤーン・フェア&総合展「THE尾州」(4)/タキヒヨー/タロダ/帝人フロンティア/トスコ/豊島

2022年02月10日 (木曜日)

〈伊の再生糸や一宮工場紹介/タキヒヨー〉

 タキヒヨーはイタリアの再生糸を軸に展示する。持続可能性を意識した取り組みの一環として打ち出す。一宮工場(愛知県一宮市)で希少性が高い糸作りや技術の紹介も行う。

 再生糸はイタリア・ビエラにあるリサイクル紡績会社のアストロ社が生産を担う。綿・ウールといった天然繊維で、世界の縫製工場で出る糸・裁断くずを色ごとに輸入して粉砕後に紡績し直す。独特な色使いも特徴的で、「GRS」や「エコテックス」の認証も取得済み。

 さらに、一宮工場の希少性が高い英式梳毛紡績機を軸とした糸作りも紹介。風合いや光沢を生かした、高品質なモノ作りを特徴とする。主に英国・シェットランド産として認証済みのウールや、南米産のノンミュールジングウール原料を使用すて生産している。

〈サステ糸の見本帳拡充/タロダ〉

 タロダ(石川県内灘町)は、サステイナブル糸の品ぞろえを拡充している。見本帳展開では、特に再生ポリエステル糸のバリエーションを広げており、今回展ではマテリアルリサイクルの「エコッタ」、ストレッチ性を付与した「エコッタα」のほか、伊藤忠商事のケミカルリサイクル「レニュー」や蝶理の「エコブルー」との協業品を紹介する。

 サステイナブル糸では生分解性ポリエステル「アペクサ」などもそろえるほか、サステイナブルをベースに撚糸やカバーリングなどで感性を高めた商品の開発も強化している。

 同社はかほく産地の細幅織物向けが主力だが、衣料品にも使える糸が多いことから、ジャパン・ヤーン・フェアなどに出展してきた。近年はインナーやアウターなどの用途が広がり、「ホールガーメント」用の先染め糸にも力を入れている。

〈「エコペット」重点提案/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティアは、再生ポリエステル「エコペット」を重点提案する。特に幅広い品ぞろえとトレーサビリティーでの強みを訴求する。

 エコペットは幅広い品ぞろえを実現しており、同社が展開するほぼ全ての品種を可能としている。今回展では12~13種類の糸と60~70種類の生地を出品する予定で、再生ポリエステルによる異形断面タイプ、中空タイプ、サイドバイサイド型のストレッチ、異収縮混、梳毛調、杢(もく)調などの商品を紹介する。

 足元ではファッションや自動車などさまざまな用途で注目が高まっており、今期(2022年3月期)は前年比2倍の販売を計画している。サステナビリティ戦略推進部が中心となり、さらなるトレーサビリティーの明確化やCO2削減の新しい評価方法の確立などにも取り組んでいる。

〈和紙糸はじめ売れ筋訴求/トスコ〉

 トスコは、売れ筋となっている商品を訴求する。その一つが和紙糸で、毛羽がないことが最大の特徴であるほか、軽量感にも優れている。細番手の62番単糸(毛番)をはじめとする4種類の糸を並べるほか、生地は7種類を用意する。

 和紙糸は20年以上前から展開し、マニラ麻を原料に使った細番手糸「グラストーン」、針葉樹のパルプが原料の太番手糸「ウッディトーン」をラインアップする。織物(シャツ地やパンツ地)の緯糸用途を中心に36番単糸の販売が伸びている。

 そのほかではポリエステル・麻のボルテックスヤーンを使った生地やレーヨン・麻のトップ糸を紹介する。レーヨン・麻は、昨年はラミーを使用していたが、今年はリネンを用いる。生地はトータルで50点弱を展示する予定。

〈サステと機能性を軸に/豊島〉

 豊島は不要になった繊維製品を素材ごとに回収、再生する取り組み「WAMEGURI」(ワメグリ)を軸にサステイナブルや機能性にこだわった商品を提案する。

 ワメグリは回収された綿やウール、ペットボトル、ダウン製品などを専用の反毛機を使ってわたに戻し再び紡績する取り組み。再生ウールを使った糸「サークルウール」などを展開する。

 サークルウールは尾州の紡績工場を活用することで、色の再現性や毛率、紡績性などを安定させており高い品質が特徴。上質な製品化に最適な素材として訴求する。

 ほかにも、リヨセルと廃棄綿布を原料として再利用する「テンセルリフィブラ」や廃棄食材を染料に活用する「フードテキスタイル」も展示する。

 機能性では難燃や遠赤外線による保温などの商品をそろえた。