技術の眼/YKK/ファーマフーズ/東洋紡ユニプロダクツ/東レ/石川メリヤス/ブレインスリープ

2022年02月01日 (火曜日)

 「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウェーブを巻き起こしうる重要な技術にスポットを当て、紹介する。

〈YKK/メタリック調止水ファスナー〉

 YKKの「アクアガード」は、ファスナーテープの表面をポリウレタンフィルムでラミネートしたファスナーのシリーズで、止水性を発揮するのが特徴。雨水が染み込みにくいため、スポーツやアウトドアの分野にも活用されている。

 ファッション性に対するニーズにも応えるため、チェーン部分に好みのデザインをプリントできるタイプや、ファスナーテープとフィルムで2色展開するタイプなど、製品のバリエーションを増やしてきた。

 中でも「メタリック調フィルム」は、上品な光沢のあるフィルムが華やかさを生み出し、使用したアイテムを一層際立たせる。シルバー、ライトゴールド、ダークシルバーと3色で展開し、テープ色はフィルムと近似色となる。用途は釣り具や手袋などにも広がっている。

〈ファーマフーズ/卵殻膜で繊維参入〉

 機能性食品開発・販売のファーマフーズ(京都市)は繊維事業に参入する。産業廃棄物として処理される卵の殻の薄皮(卵殻膜)を活用したレーヨン繊維を国内企業と共同開発した。新ブランドを立ち上げ、今春までに販売を始める。

 卵殻膜を独自技術で加水分解して、パルプから作ったビスコース原液と混合し紡糸。量産化技術も確立した。加工・染色性も確認済みだ。卵殻膜に含まれる主成分はタンパク質で、肌に優しく細菌や紫外線から守る働きもある。

 糸、わた、生地で販売する。下着や靴下など自社製品も開発し、自社の通信販売で取り扱う予定だ。

 SDGs(持続可能な開発目標)達成に取り組む企業に融資する「ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)」の手法を活用し、滋賀銀行とコミットメントライン(融資枠)契約を結んだ。最大15億円を調達し、新事業に充てる。

〈東洋紡ユニプロダクツ/ダニ増殖抑制生地開発へ〉

 東洋紡ユニプロダクツのライフスタイル事業部寝装グループは、防ダニと抗菌防臭機能を持つ生地を開発している。寝具寝装用生地にはほぼないとされるダニの増殖抑制機能を持たせた練り込みタイプで、高まる清潔志向のニーズに応える。

 現状の防ダニ寝具は、中わたで機能を付与する場合が多い。染色工程などが必要ない中わたは、防ダニ機能を持たせやすく採用が広がる。“側”(中わたを詰める前の半製品)でも一部で、後加工での忌避タイプや、高密度の織組織でダニの進入を防ぐタイプがある。

 同グループは、市場にほぼないとされるダニの増殖抑制タイプの生地に着目。生地単独とともに、防ダニ中わたとセットで使うことで製品としての機能を高められ、清潔志向の高まりに応えられるとして開発に着手した。染色工程などでの技術的な問題に取り組み、機能成分を繊維に練り込むタイプのポリエステル短繊維使いの紡績糸を開発して生地にした。

〈東レ/100%植物由来ナイロン〉

 東レは原料のポリマーを全て植物由来にしたナイロン510繊維を新たに開発した。バイオマス由来繊維ブランドのラインアップ「エコディアN510」として、主に23秋冬アウトドア用途向けから展開していく。

 ヒマ由来のセバシン酸と、トウモロコシ由来のペンタメチレンジアミンを重合、紡糸した100%植物由来のナイロン繊維となる。融点と寸法安定性が高いなど、他の植物由来ナイロンにない特長を持つ。さらに従来のナイロン6の強度、耐熱性と同等のスペックがあるため、主に国内外のハイエンドゾーン向けサステイナブル商材として訴求していく。

 生地は23秋冬のスポーツ・アウトドア用途を中心に薄地織物、ジャージーなどの需要を想定。22年度に2~3億円、25年度に7~8億円の売り上げとなる見込み。ファイバーは製品の安定性を図りながら24秋冬アウトドア、インナーレース、資材用途向けから投入する。

〈石川メリヤス/手袋で車を楽に掃除〉

 作業用手袋製造の石川メリヤス(愛知県西尾市)はこのほど、車のホイールや車内を楽に掃除できる手袋の販売を始めた。社員のアイデアを盛り込み、指の部分を長く余らせるなど掃除がしやすいよう工夫した。

 「自分用の手袋を作る」というテーマのもと、全社員が企画から編み立て、仕上げまでを行う研修を実施。その中で特に完成度が高かった手袋2種類を一般の人にも使ってもらおうと商品化した。

 そのうち、「ホイール磨き手袋」は薬指と小指の部分を長く余らせた形状が特徴。余った部分を親指や人差し指でつまんで布の代わりとして使用できるため、手袋一枚で掃除が可能。

 同時発売する「車内掃除用手袋」は手を自在に動かせるように厚みや指の長さに細心の注意を払って開発した。車内のわずかな隙間や凹凸にたまったホコリを容易に取り除くことができる。

 いずれも自社通販サイトで販売。今後は卸売りも検討する。

〈ブレインスリープ/携帯型寝具セット登場〉

 睡眠関連事業を行うブレインスリープ(東京都千代田区)は、持ち運べる枕・マットレス・掛けふとんの寝具セット「ブレインスリープ オールインワン」を開発した。

 “これひとつでどこでも最高の睡眠を”がコンセプト。

 枕とマットレスをまとめて折り畳んだときのサイズは幅70センチ・長さ64センチ・厚さ18センチ。持ち手付きでバッグのように持ち運べ、クローゼットの隙間や車のトランクにもしまいやすい。掛けふとんは付属の袋に収納し小脇に抱えられる。いわゆる組ふとんだが、ここまでコンパクトで携帯性に富んだものは珍しい。

 枕とマットレスには熱を放散させる通気性に富んだ素材を使い、深部体温がこもらないようにした。枕は沈み込みすぎない程よい柔らかさ、マットレスは優れた体圧分散性と反発性を備えた。

 掛けふとんはファスナー付きで閉じると寝袋になる。足元を開くことができるので寝床内温度が調節できる。