特集 オフィス&サービスウエア22春夏(5)/素材メーカー・商社編/サステ素材の需要拡大に応える/東レ/東洋紡STC/帝人フロンティア/豊島/ニッケ

2022年01月31日 (月曜日)

 サステイナビリティーの潮流と新型コロナウイルス禍によって、繊維業界は待ったなしの構造改革が進む。環境への配慮を求める声の高まりも合わさり、素材調達の位置付けはますます重要なものとなる。新たな需要の掘り起こしに本腰を入れるオフィス・サービスウエア市場にとっても例外ではない。

〈「ライトフィックス」など増強/東レ オフィス・サービスユニフォーム〉

 東レは2022年度のオフィス・サービスユニフォーム向けに、着用快適性、清潔感を重視したストレッチ「ライトフィックス」、抗ウイルス「マックスペックV」、ペットボトル再生「&+」(アンドプラス)などを重点投入する。

 昨年10、11月に大阪、東京などでユニフォーム内見会を開催。ユーザーとの対面による商談で「大きな手応えが得られた」と言う。

 軽さ、ストレッチ性などに優れるライトフィックスのニットのバリエーションが引き合いを集めており、ぎらつき防止タイプなどの「素材の完成度が評価された」と言う。

 最近、エコ素材への要望が強まっているため、アンドプラスや部分バイオポリエステル「エコディア」、ペットボトル再生「エコユース」の3本柱を打ち出した。

〈安全・清潔素材打ち出す/東洋紡STC〉

 東洋紡STCは22秋冬、23春夏に向けて安全、清潔を求めるニーズに対して制菌加工「エスコーラ」「エピコモド」、抗ウイルス加工「ナノバリアー」を打ち出すとともに着用快適性が特徴のノンスパンデックスによるストレッチ素材「オールフレックス」を重点的に投入する。21年度(22年3月期)は白衣向けの販売が堅調に推移した一方、ガソリンスタンド系、飲食系などが厳しかったといい、オフィス・サービスユニフォームトータルでは20年度の販売量を下回る見通し。

 22年度の市況については「新型コロナウイルス禍がどう推移するかに左右される」とみており、当面は原燃料や物流費などの高騰に伴うコストアップを転嫁するための値上げに重点的に取り組む。

〈サステ素材軸に提案/帝人フロンティア〉

 帝人フロンティアのユニフォーム部は、中期での成長を目指す。足元では食品工場向け白衣やクリーンルーム向けが好調で、今後はワーキングでも拡大を狙う。

 オフィス・サービス向けは今期、新型コロナウイルス禍の影響を受けているが、今後は各アパレルの戦略に沿ったタイムリーな素材提案を進めながら回復を狙う。アパレルが進める新しい動きへの対応も重視し、「新しい需要の創出に向け、素材で貢献していく」(杉本伸介ユニフォーム部長)としている。

 オフィス・サービスでは、再生ポリエステル「エコペット」やPTT繊維「ソロテックス」などを重点提案していく。エコペットはコンジュゲート糸を含めて幅広い品種の生産を可能としている。ユニフォームでは、エコペットによる梳毛調ストレッチ「トリクシオン」などの提案を強めていく。

 ソロテックスは、ソフトな風合いやストレッチ性、形態安定性に加え、植物由来ポリマーを使った環境配慮型素材である点からも注目を集める。特に紡毛調「ソロテックス フルフラン」が好評で、学生服やオフィスなどで伸びている。要望が増えている植物由来ポリエステル「プラントペット」の提案も強める。

 機能素材では、汗染み対策素材「デュアルファイン」に力を入れる。撥水(はっすい)糸を使ったダブルニット・織物で、機能性を向上させたこともあり、ユニフォームでもさまざまな分野で広がっている。

〈新たなビジネスモデルへ/豊島〉

 21春夏から本格投入しているストレッチ性生地「ハイパーヘリックス」をユニフォーム向けでもさまざまな分野に提案している。ストレッチによる動作性が優れているため、サービスウエアやワークウエア、最近増えているワークスーツなどに向くと言う。

 この他、日本環境設計の「ブリング」や、オーガニックコットン普及プロジェクト「オーガビッツ」など、サステイナブル素材群「MY WILL」(マイウィル)に対するニーズも増えている。

 デジタル技術で企業を変革するDXに全社で取り組む。3DCGの幅広い展開や、生産面での効率化、サプライチェーンの管理にデジタル化は欠かせないものとなっている。ユニフォーム分野でも製造段階における工数削減や、担当者の技術や経験により品質に差が出てくることがないよう属人化を避けるために活用する。

〈サステイナブル素材を拡充/ニッケ〉

 ウールはカーボンニュートラルにつながる環境配慮素材であることを強く打ち出す。ウールの上質な風合いと耐久性、防シワ性を備えた戦略素材「ミライト」をはじめ、バイオPETと再生PETを複合したハイブリッドエコ素材「プラビナ」、ケミカルリサイクルポリエステル「ニッケ エクストラファイン ウィズ レニュー」、植物由来ポリエステル複合の「アクティブウール ビオ」などを主力商品とする。

 サステイナビリティーに対する意識が社会全体でますます高まっている中、新たな紡績手法で生産する「ブリーザ」は、製造工程でのエネルギー使用量をCO2排出量換算で約55%減少させ、着用中や洗濯中のマイクロプラスチックの放出を約75%削減。これまでの開発品を整備して今後の本格展開を予定する。