クラボウ/糸の販売量回復基調に/製造と販売をつなげる

2022年01月25日 (火曜日)

 クラボウの繊維事業部繊維素材部は、原糸販売を通じて産地など製造現場とアパレルなど販売現場をつなげる機能を一段と強化する。その一つとしてアップサイクルシステム「ループラス」の拡大を進める。サステイナブル素材の需要が高まっていることから、機能を付与した綿100%糸の提案にも力を入れ、糸需要の掘り起こしに取り組む。

 繊維素材部の小林靖弘部長によると2021年度(22年3月期)の糸販売量は、新型コロナウイルス禍の影響で需要が低迷した20年度からの回復が続く。世界的に糸の流通在庫が減少していたこともあり、生産スペースも埋まる。

 特に海外はタイとインドネシアの子会社の紡績設備がともにフル稼働となった。中国綿(新疆綿)の使用を忌避する欧米アパレルが糸の調達先を中国からASEAN諸国にシフトさせている影響もあるようだ。

 中空紡績糸「スピンエアー」など実績のある差別化糸が販売をリードしており、加えて原綿改質による機能糸「ネイテック」の販売も拡大した。「サステイナビリティーへの要求が高まる中、綿100%素材に機能性を求める需要家が増えており、アパレルの採用が拡大した」と話す。タオル向けも回復基調となった。

 繊維製品の製造工程で発生する裁断くずや残糸、C反などを反毛して紡績糸にアップサイクルするループラスの拡大にも取り組む。エドウインなどアパレルとの連携に加えて、昨年は今治タオル工業組合、奈良県靴下工業協同組合、播州織産元協同組合、兵庫県繊維染色工業協同組合、播州織工業組合、播州織整理加工協会との連携が始まった。現在、ループラスの糸を使った商品企画が進められており、「特に今治タオルで引き合いが多い。4~6月には生産が始まる予定」となった。

 ループラスの糸による産地間連携にも取り組む。例えば今治産地で発生した原料で製造した糸を播州織産地や奈良靴下産地で使用するなどの産地間での相互活用を進める。小林部長は「ループラスを通じて、産地とアパレル、産地と産地をつなげることを目指している。製造現場と販売現場をつなげる役割を担っていきたい」と話す。

 このため今後、ループラスによる糸の一部備蓄販売も開始する。海外市場にも対応するため、リサイクル製品の国際認証「グローバル・リサイクルド・スタンダード」(GRS)の取得も進める。