東レ 機能製品事業部/環境、快適、安全に焦点/生産基盤維持のため値上げ

2022年01月24日 (月曜日)

 東レの機能製品事業部は2022年度(23年3月期)に向けて「環境」「快適」「安全」に焦点を当てた商品提案に力を入れる。ユニフォーム分野でも環境配慮素材への要望が高まっており、再生原料やバイオ原料使いを拡充する。一方、原燃料高や加工コスト上昇で採算が悪化しているため1月新規契約分から生地価格を7~15%値上げした。

 梅田輝紀機能製品事業部長によると、21年度は新型コロナウイルス禍で打撃を受けた20年度からの回復が進み、ここまで業績も計画通りに推移した。ただ、大型案件があった19年度水準にまでは回復していない。

 病院白衣向けや学生服地は堅調だった。学生服はLGBT(性的少数者)対応で公立中学校の標準服がブレザーに変更されるケースが増えており、更新需要の取り込みで成果が上がる。オフィス・サービスユニフォームやワークウエア向けは回復途上にあり、特にワークウエアは底入れ感が出てきた。ただ、企業別注ユニフォームは回復が遅れており、官需も予算の制約などから勢いがない。

 22年度に向けて「環境、快適、安全がキーワードになる」と言う。ワークウエアでも環境配慮素材へのニーズが高まっている。このため再生ポリエステル「&+」(アンドプラス)、バイオ原料ポリエステル「エコディア」の活用を進めるほか、再生ナイロンやバイオ原料ナイロンもユニフォーム用途に投入する。

 快適性に関しては「プライムフレックス」や「ライトフィックス」「マニフィーレ」などストレッチ素材を軸に提案する。安全に焦点を当てた商材として、抗ウイルス加工生地「マックスペックV」やストレッチ性も付与した難燃生地「ナフレム」の提案を強化する。ナフレムは後染めのため、小ロットの多色展開もできる。縫製品は通気性とバリア性を両立した保護服「リブモア」の拡販に引き続き取り組む。耐水圧タイプと帯電防止タイプもラインアップに加わった。

 一方、課題は原燃料や加工コスト上昇による採算悪化。綿花や合繊粗原料が高騰し、染料・薬剤や燃料価格の上昇で染色加工コストも大幅に上昇した。このため生地も1月新規契約分から従来のアパレル入り価格比7~15%の値上げに踏み切った。梅田部長は「加工をお願いしている染工場など産地の生産基盤を守るためにも価格改定が必要」として取引先に対して理解を求めている。