特集 タオル製品(4)/有力製造卸の進路/スタイレム瀧定大阪/ナストーコーポレーション/日繊商工/おぼろタオル

2021年11月26日 (金曜日)

〈スタイレム瀧定大阪/第二事業部 ガーメント2部 ギフトコミュニケーション課 課長 小倉 隆司 氏/販路開拓、アピール続ける〉

  ――今期の商況は。

 2020年よりは良くなっていますが、新型コロナウイルス禍以前の水準には戻っていません。フォーマルギフト用途、特に当社が主力とするブライダル関連の戻りが遅く感じています。結婚式の開催が戻っても小規模で行われるなど、タオルの贈答需要が本格的に回復するのは来春ごろになるとみています。

 10月に東京インターナショナル・ギフト・ショーに出展しました。タオルへの名入れや刺しゅう、商品を収納する木箱への名入れなど別注対応力を強調しました。タオルに限らず、ベビー用品、日用雑貨など幅広い商材を扱えることもアピールし、来場者の反応は良かったと思います。既存の主力であった贈答用途だけでなく企業ノベルティ用途などへの拡大を見込んでいます。

 冠婚葬祭関連市場では仏事も葬儀に人を多く集めない流れが強まっていますが、「後返し」の文化があることで影響は軽減されるとみており、提案を継続します。

  ――「今治謹製」の展開について。

 20年に開設した東京・北青山の直営店は新型コロナ禍の中でもリピーターを獲得、会員制度を運営するなど順調に推移しています。今治謹製ブランドと直営店の両方でインスタグラムでの情報発信を行い、ブランドの浸透も進んでいると感じます。

 直営店では贈答の「贈」の部分で用いられるケースが増えており、高価格帯製品も売れています。直営店で得られた新しい知見をカタログ製品にも反映します。

 直営ECも含め、ネットとリアルの相乗効果を追求します。

〈ナストーコーポレーション/社長 尾池 行郎 氏/提案型営業を推進〉

  ――2022年4月期の見通しを。

 21年4月期が健闘したこともあり、収益ともに1桁%台の減少を見込んでいます。7月以降の天候要因で夏物の動きが振るわなかった一方でキャラクター関連製品の動きが堅調でした。ODM型ビジネスも重視しており拡大しています。

 依頼の通りにモノ作りをするOEMは市況が悪化した時の影響を受けやすい。ODMでは当社の強みをアピールしながら企画段階から付加価値の高いモノ作りが一緒にできます。タオル以外の業種との協業も積極的に進めたい。

 当社が取り扱うナショナルブランドやキャラクターの異ジャンルの商品を当社が編集して卸売する手法も取り入れています。一つのブランドを軸とした売り場を作りたいが当社以外の取引先開拓が進まない、キャラクター製品では次の映画が公開されるまでの短期間で売り場を早期に設けたいといった要望に応えることができます。当社にとってもタオルのシーズンオフの冬場でも他の製品を卸すことで売上高を維持しやすいメリットがあります。

  ――新型コロナウイルス禍の中での動きは。

 パソコンやスマートフォンを活用したリモートワーク体制強化を進めると同時に以前から導入を進めていた営業・勤怠管理システムの活用幅を拡大しました。グループウエアの使用を徹底することでリモートワークでもスムーズな勤務体制が確立できました。収束後にも柔軟に活用します。

 リモート商談やバーチャル展示会などネット活用も継続します。動画投稿サイトでのSDGs(持続可能な開発目標)への取り組み紹介など幅広く紹介します。

〈日繊商工/社長 俣野 太一 氏/新需要掘り起こす〉

  ――今期の現況は。

 決算期の変更で1~8月までの変則決算となっています。期中は新型コロナウイルス禍に対する緊急事態宣言の発令時期とほぼ重なり厳しさが続きました。

 新型コロナ禍の間にも新ブランドを含めた新しい切り口の提案を意識的に強化し、清潔志向、健康志向への対応や家の中での使いやすさなどを打ち出した製品を充実させました。展示会も招待制にしましたが例年のスケジュール通りに開きました。

  ――新型コロナ禍による業界への影響は。

 この間、ジャフコの伊澤タオルへの資本参加など業界内の動きでも構造が変わってきたことを感じます。

 タオルの主要用途だった冠婚葬祭を中心とした贈答文化やネット通販の拡大などで変化が顕著に表れています。この先、どの程度元の形に戻るのかを見極めながら、どこに提案、販売の軸を置くべきかが問われています。

 消費者のライフスタイルも変化し、タオルの買い方、使い方も変わってきたと感じます。来春夏商戦以降にこれまでの提案を成果につなげていきたい。

  ――今後の提案の方向性は。

 半歩先、一歩先を考えた企画・提案が必要ですが、とても難しい。商品価値だけでなく環境に配慮した素材調達、生産背景などをアピールすることも重要度を増しています。使えなくなったタオルの活用法のアピールや東日本と比べてなじみが薄い「年賀タオル」の文化を西日本にも定着させるためのキャンペーンを展開するなど、アナログ的な仕掛けで需要を掘り起こすことにも取り組みます。

〈個人ギフト向けの新商品販売/おぼろタオル〉

 タオル製造販売のおぼろタオル(津市)は新たなオリジナル商品の販売を始めている。柔らかさや速乾性、吸水性といった機能を備えるほか、パッケージにも工夫を加えており女性をターゲットにパーソナルギフト向けとして訴求する。

 新商品は「おぼろオールインワン」。特殊な製法を用いて40単、80単糸をストライプ柄に織ることで凹凸を表しこれまでにない柔らかさを実現した。速乾性や吸水性は第三者機関によるエビデンスもそろえ、冊子にまとめ商品と同梱(こん)した。

 パッケージにもこだわる。ハート型に似た日本古来の伝統模様「猪目」(いのめ)を採用し女性向けのギフト用途として打ち出す。カラーも日本の四季を意識し、淡色系の緑、ピンク、シナモンを展開する。サイズはバスとフェースの2種類。

 オリジナル商品は2017年から販売を本格化した「おぼろ百年の極」を皮切りに、体の部位に特化した「専顔/専髪/専身タオル」シリーズをそろえる。今回の新商品を加え3本柱で販売拡大を進める。既存2商品の販売は堅調に推移する。