伊藤忠繊維貿易〈中国〉/サステ素材「BioDex」展開へ/華コウ化学からライセンス供与で

2021年10月26日 (火曜日)

 【上海支局】伊藤忠繊維貿易〈中国〉(ITS)が、部分植物由来のPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維を使った上海華コウ化学のサステイナブル素材ブランド「BioDex」の展開に乗り出す。上海華コウ化学から独占的ライセンスの供与を受け、アパレルなどの製品をグローバルで展開する。ケミカルリサイクルポリエステル繊維「レニュー」と並ぶサステイナブル素材ブランドに育てていく。

 BioDexは、PTTの原材料であるPDO(1・3―プロパンジオール)の生産技術を持つ上海華コウ化学が、帝人のPTT重合紡糸特許ライセンスを取得するなどし、生産している。

 同社は2017年の設立からわずか4年で、BioDexの商品化に成功した。そのほかに日用品や衛生用品、ポリウレタン、医薬品中間体などの開発も行っている。

 本部を置くシンガポール政府の基金から、中国企業として初めて資金提供を受けており、シンガポール国立大学と研究開発を共同で進めている。

〈「SDGsの有力な武器に」〉

 22日に上海市内で、BioDexの契約の調印式が行われた。上海華コウ化学の王霄CEOは「伊藤忠商事に川下はお任せする。(伊藤忠の企業理念である)三方よしを実現したい」とあいさつ。同社の藤冠強董事長は「新しい素材を普及させるには、素材の強み以外にマーケティングが重要だ」と今回のライセンス供与の理由を話した。

 これを受け、ITSの三村剛董事長は「川下はわれわれにお任せいただきたい。BioDexは高品質でかつコスト競争力を持つ。レニューと共に、伊藤忠のSDGs(持続可能な開発目標)のための有力な武器にしたい」と述べた。