東レ ファイバー・産業資材事業/プロジェクトIで一歩前に/生地・製品にらんだ提案徹底

2021年08月24日 (火曜日)

 東レのファイバー・産業資材事業部門は2020年度下半期から“プロジェクトI(イノベーション)”を推進している。糸やわた売りが中心のファイバー事業、産業資材事業で一歩、前の工程に踏み込み新規客先を開拓しようとする取り組みだ。長繊維、短繊維、産業資材の3事業部が製品販売もにらんだ開発、提案に取り組み新規商流を開拓しつつある。

 長繊維事業部は自動車内装材向けにサステイナビリティーや白度にこだわって開発したPET再生ポリエステル「&+(アンドプラス)」を打ち出している。

 電気自動車をターゲットに生地売りもにらんだ企画提案を進めており、21年度下半期にめどをつけた後、22年度から実際の販売を立ち上げる。

 衣料向けでもサステイナブル素材による開発・提案を重ねてきており、東レのリサイクルナイロンで商品化したインナー製品をワコールが発売する。

 短繊維事業部は防ダニ原綿の新タイプを下半期から投入。わた売りからスタートさせ、製品での販売を検討していく。

 アンドプラスによる開発も重視。PET再生ポリエステルを使いたいとの要望が強い顧客と除菌シートでの取り組みを立ち上げるべく原反の開発に取り組んでいる。

 産業資材事業部は「単純な糸売りを減らせ」と営業マンに指示しているという。顧客とともに、顧客の売り先まで赴き共同で企画提案する営業スタイルの浸透に力を入れている。

 例えば、インテリアメーカーとともにマンション建築を進める不動産メーカーにアプローチしたり、ロープ・ホーサーメーカーとともに船舶運航会社に販促をかけたりするような営業活動を徹底し、新規販路の掘り起こしを目指す。

 今後はサステイナブルへの傾斜を強める自動車メーカーにカーペットメーカーとともにエコ素材による企画を売り込んでいき、リサイクルナイロンやバイオナイロンの拡販に取り組む。