東レ・オペロンテックス/再生タイプの量産に意欲/19年度並み販売量を目指す

2021年07月28日 (水曜日)

 東レ・オペロンテックスは、2021年度のスパンデックス・ライクラ事業で、原料急騰によるコストアップをカバーするための値上げの浸透を急ぐ。既に技術を確立しているマテリアルリサイクルによる再生糸の導入を検討しており、「顧客がお持ちの課題解決に貢献できるなら、すぐにでも本格販売の準備作業に着手したい」(山地修社長)考えだ。

 20年度は新型コロナウイルス禍の影響で特にアパレル向けの販売が苦戦した。21年度を迎え4~6月期から業績は上振れし、7月以降も予算通りの推移のため、21年度は「19年度並みの販売量に回復させたい」との意欲を示す。

 スパンデックスの粗原料である1・4ブタンジオール(BDO)、主要原料のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)の価格が急騰している。寒波の影響で北米での原料生産が止まり、BDO生産から撤退するメーカーが現れたことも重なったため、BDO、PTMEGとも昨年末にかけて価格が3倍以上に高騰。今後の収束の見通しも立っていない。

 このため、同社は4月1日出荷分から「ライクラ」を300円(1キロ当たり)値上げすることに着手し、顧客にこの間の情勢を丁寧に説明しながら早期の値上げ浸透を図る。

 最近はスパンデックスでもサステイナブルを求めるニーズが高まっているといい、同社は顧客からのニーズを見極めた上で再生タイプの量産を検討する。

 ポストコンシュマーによるリサイクルにも意欲を示し、昨年下半期に発足した事業戦略室が中心となった取り組みを強化し、パイロットプラントによる事業化を検討していく。

 同社はかねて特品(高機能糸)の開発・拡販に重点的に取り組んできた。21年度は数年前に発売した消臭タイプ「T―327C」の性能をアップさせた「T―327C強化糸」の市場浸透に力を入れている。

 これまでは相手素材や生地設計、加工方法などによって消臭性能がぶれることがあった。この強化糸で生地、製品を設計すれば消臭性能のぶれをミニマイズすることができるため、顧客からは好評を得ている。