東レ 22春夏婦人服地/部門連携で機能素材拡充/快適ニット打ち出す

2021年07月05日 (月曜日)

 東レは22春夏向けの婦人服地で、機能製品(ユニフォーム)やスポーツ部門との連携を強化し、両部門の戦略素材をファッション素材にアレンジした新企画で拡販を計画する。ファッション素材だけでなく機能素材の提案が欠かせないとしており、新型コロナウイルス禍に伴い要望が強まっているという安全、衛生を担保する素材の販売にも力を入れる。

 22春夏に向けた婦人服地商戦が始まっているものの、「市況の回復は遅く、特に問屋経由の商売が相対的によくない」(石井慎二婦人・紳士衣料事業部長)と言う。

 22春夏に向けては、主力のファッション素材とともに「着る人が利便性を感じられる機能素材が欠かせない」としており、シルキー調「キナリ」や和紙のような質感が特徴の「カミフ」といったファッション素材とともに、機能素材によるさまざまな企画の提案に取り組んでいる。

 スプリングコート向けに透湿防水ナイロン織物「ダーミザクス」を打ち出すほか、パンツ向けには抗ウイルス「マックスペックV」の中肉織物・ニットを用意する。

 このほか、撥水(はっすい)、透け防止、防風、消臭、速乾などの機能素材群をアイテムごとに落とし込んだきめ細かな提案を重視している。

 5月末までに行ったウェブ展ではユニフォーム素材をファッション素材にアレンジしたポリエステル・綿によるシワ加工「ペンタスα」、ナイロン100%の「ダーミザクス」「マックスペックV」がピックアップ素材の上位三つを占めており、今後もユニフォームやスポーツ素材を婦人服地にアレンジする開発を強化し、商品ラインに奥行きを持たせる。

 ニットの商品ライン増強を急いでおり、シワになりにくい物性やヒラヒラ感を打ち出し、婦人ニットの拡販を計画する。ウェブ展では、「キナリ」によるシースルー天竺やスムースが好評だった。

 一方、中国からデシンやサテンといった素材への引き合いが多く寄せられているという。21年度は対中輸出を「2倍くらいに増やしたい」としており、売れ筋を予測した上で原糸や生機を在庫で構えるような「作戦をしっかり練って、旺盛なニーズに応えていきたい」考えだ。

 白度やトレーサビリティーが特徴の再生ポリエステル「&+」(アンドプラス)がメンズを中心に引き合いを集めており、アンドプラス化した透け防止「ボディシェル」や麻調「リランチェ」などの本格販売を22春夏から立ち上げる。