開発最前線2021 紡績のイチ押し機能加工(下)/大和紡績/事業横断で用途開発
2021年04月15日 (木曜日)
大和紡績は抗ウイルス加工「クリアフレッシュV」を衣料分野の製品・テキスタイル事業だけでなく、合繊事業や産業資材事業などと横断で用途開拓に取り組んでいる。性能の向上に加え、海外での加工にも対応するため加工剤の改良にも取り組む。
クリアフレッシュVは従来、衛生マスクやインナー用途での採用が中心だったが、新型コロナウイルス禍を契機に注目が急速に高まった。このため最近では寝装などでも採用が進み、量産がスタートしている。抗ウイルス加工だけでなく抗菌など衛生加工全般への注目も高まった。アパレル子会社のダイワボウアドバンスの子供服などで採用が進む。
同社は2020年に製品・テキスタイル事業のダイワボウノイ、合繊事業のダイワボウポリテック、産業資材事業のダイワボウプログレスなどが統合し、総合繊維事業会社として再スタートを切った。抗ウイルス加工も従来は製品・テキスタイル事業本部で扱ってきたが、技術開発本部と連携することで衣料用途だけでなくフィルターなど合繊事業本部や産業資材事業本部でも活用するための応用開発を進めるなど事業横断で用途開拓に取り組む。
用途拡大に向けて性能の向上にも取り組む。耐久性を高めることで工業洗濯にも対応したタイプの開発も視野に入れる。現在は衣料品縫製の中心が海外となっていることから、海外での加工と生地供給のニーズも高い。しかし、海外は各国が化学物質規制を課しているため自由に加工剤を持ち込むことが難しいケースも少なくない。このため現地の化学物質規制に適用するように加工剤の改良にも取り組む。
抗ウイルス加工は薬機法や景品表示法の規制から製品の表示などで具体的な疾病や病原体への効果・効能を記載することができない。このため商品の機能を消費者に訴求するハードルが高いという問題もある。この課題に対して、繊維評価技術協議会が認証する「SEK抗ウイルス加工マーク」を活用した訴求などを進める。安全性を最重視し、繊維市場での抗ウイルス加工の普及に取り組む。(おわり)