伊藤忠 岡藤会長CEO/3冠達成に意欲/“資産”磨き安定利益創出

2021年02月22日 (月曜日)

 伊藤忠商事の岡藤正広代表取締役会長CEOは、「今期こそ3冠を達成できるかもしれないが、油断はしないし無理もしない」と2021年3月期連結決算を見通す。時価総額、株価では既に商社トップに立っており、純利益で三菱商事を抜けば、3冠達成となる。繊維事業については中期的に「純利益で安定的に200億~300億円を稼ぎたい」との考えを示す。19日に大阪市内で開いた会見で述べた。

 20年4~9月期の純利益は伊藤忠が2525億円を計上し、商社トップだった。伊藤忠の通期純利益予想は4千億円。計画通りの着地になると伊藤忠が業界トップになる。これで時価総額、株価と合わせて3冠となる。岡藤会長CEOは「8割方(3冠達成は)実現できると思う」と自信を示す。

 岡藤会長CEOによると、過去5年の純利益合計額は伊藤忠を100とした場合、三菱商事が約90、三井物産が約70となり、伊藤忠が首位。ただ、「財閥系商社との〝体力〟の差は歴然」とし、マーケティング機能の強化や判断スピードの向上などで“体力”を身に付けていく必要性を強調した。

 繊維事業については、総合商社の中で唯一本体に繊維部門を残していることや、ファミリーマートやほけんの窓口のように、消費者と直接接点を持つ事業が多いことを挙げ、「持っている〝資産〟を磨けばもっと稼げるはず」と指摘。各事業や商品を磨く(付加価値化)ことで同事業の純利益を200億~300億円に引き上げることも十分に可能との見方を示した。同事業の20年3月期連結純利益は90億円だった。

 アパレル事業については「プロパー消化率を上げ、不良在庫とバーゲン比率を下げることが大事」とし、その実現のためには顧客目線のマーケットイン発想が鍵を握ると説いた。