伊藤忠商事、日本気象協会/気象を需要予測に生かす/課題解決するサービス提供

2020年11月26日 (木曜日)

 伊藤忠商事は25日、一般財団法人日本気象協会(東京都豊島区)と、アパレル向け需要予測サービスの設計、開発、運用に関する業務提携契約を締結した、と発表した。前年の販売実績を前提にして生産計画を立てるファッション業界の商習慣を、客観的データの活用を取り入れるものに転換させるのが狙い。21春夏向け需要予測サービスの試験運用に既に着手し、22春夏向けから本格運用を開始する予定。

 同サービスでは、大量発注・過剰在庫、値引き販売による利益率低下といった課題の解決のため、市場データの作成や需要予測データの提供を通じて、バリューチェーンの最適化を支援する。サステイナビリティーの実現やビジネスモデルの進化にもつなげていく。

 アパレル各社から収集したデータに基づき、ファッション業界全体の売り上げの変化を捉えながら、気象を考慮に入れて需要の予測を立てる。期初では、気象効果測定やトレンドから売り上げの要因を分析した上で発注することにより、過剰在庫を回避する。期中でも、長期・中期の気象予測データを生産調整、棚割り最適化、値引き販売に活用する。

 需要予測は、アウターやワンピースといった製品のカテゴリー別に、シーズン・月・週単位で示すことができるという。

 試験運用では、ユナイテッドアローズやナノ・ユニバースなどと需要予測の効果を検証する。

 伊藤忠商事ファッションアパレル第二部の溝内剛士部長は「大量廃棄問題の要因の一つである異常気象に着目した。3年後にはサービスの対象を30社以上に広げたい」と目標を述べた。