2020年秋季総合特集Ⅳ(12)/トップインタビュー 伊藤忠システック/省人化がさらに進む/常務取締役 村上 庄一 氏/ワンストップで対応

2020年10月29日 (木曜日)

 伊藤忠システックの今上半期は、テキスタイル用機械が新型コロナウイルス禍の影響を受ける一方、不織布用機械やマスク製造機などが堅調に推移する。今後は不織布用のさらなる強化を図るとともに、テキスタイル用ではニーズが高い自動化・省人化、新しい用途の開発などに寄与する機械の提案を強化するなどの手を打つ。

 ――日本の繊維産業はどう変わるとみていますか。

 いつどのように終息するのか読めない中で、どう世の中が変わっていくかを見通すことは難しいのですが、電子商取引(EC)の拡大など販売ルートが変わっていくことはその一つだと思います。生産は小ロット・短納期化がさらに進み、繊維機械では準備工程の簡略化や調整にかかる時間の短縮などのニーズが増えるでしょう。熟練工が少なくなる中で自動化や扱いやすさなどへのニーズは多く、新型コロナ禍ということでより省人化が進むでしょうから、それらもポストコロナの大事な点とみています。

 ――今上半期はいかがでしたか。

 全体でみると、不織布用機械は堅調で、プラスチック関連も例年並みで推移しましたが、衣料用を中心とする繊維機械は落ち込んでいます。輸出はインド市場が低迷していますが、中国やパキスタンなどは徐々に例年並みに戻ってきているようです。インドの減少分だけ厳しいのですが、足元の市場環境は大きな混乱なく落ち着いてきています。

 ――日本の各産地が設備投資について様子見になっています。

 上半期は現場に足を運んでの営業活動がほとんどできない中で、需要が増えたマスクや不織布用機械の提案を重点的に進めましたが、織機などテキスタイル用の機械は落ちました。ただ、9月に入って引き合いが増えている産地も出てきていますので、個々のニーズを聞きながら提案を進めていきます。新型コロナ禍で延期になっている案件の具体化に取り組みますが、前の構想と変わっている可能性がありますので、それぞれのニーズを聞きながら柔軟に対応していきます。

 ――今後の市場環境をどうみますか。

 少なくとも今年いっぱいは厳しい状況が続き、アパレル用途については来年も大きな回復が望みにくいとみています。資材分野に注力しようとする動きが出ていますので、そこでの引き合いが下半期後半に出てくる可能性はありますが、全体で見ると来年までは難しい状況が続くでしょう。

 ――今後に向けてのポイントは。

 不織布用機械は今後も力を入れていく分野であり、フォロー体制も含めてさらに強化していきます。現在は衣料用テキスタイルを製造する企業でも不織布やマスク製造機械を要望する声が出ていますので、関連部署が連携しながら対応していきます。

 テキスタイル用では、日本が得意とする高品位な商品に特化してこだわったモノ作りを進めていく方向性がありますので、それをサポートする機械の提案に力を入れていきます。当社は糸から織り・編み、染色加工、整理仕上げまで一貫で機械をそろえていますので、社内連携しながらワンストップでそれぞれのニーズに合う提案を進めます。ニーズが高い自動化・省人化や新しい用途の開発に寄与する機械の品そろえも強化します。機械の販売だけでなく、定期的に訪問して機械の状態を診断し、トラブルが起こる前に対処する予防保全の技術サービスも強化します。

〈私の新常識/野菜中心の弁当で減量に〉

 5月から昼食は奥さんが作ってくれるお弁当に変わった。野菜中心でタンパク質もあるが、お米はないというヘルシーなメニューになっているそうだ。新型コロナ禍で夜の会食もなくなった。以前は飲まずに帰る日がなかったが、現在はお客さんとの会食もなくなり、歓送迎会など社内での集まりも自粛になっている。この相乗効果で3月にピークを迎えた体重は4カ月で10㌔減量。現在、体調も良くなったと感じている。

〈略歴〉

1982年4月伊藤忠商事入社、2010年6月伊藤忠システック取締役、2020年6月 常務〈営業管掌〉。