特集 介護メディカル(2)/コロナ禍に負けない新たなニーズを捉える

2020年09月28日 (月曜日)

〈ナガイレーベン/感染対策商品が伸びる〉

 ナガイレーベンは、メディカル、介護ウエアで快適性に注力する。特にカッティングや素材面で着用者の現場での動きに対応した工夫を凝らした商品を展開する。

 動きやすさと快適性に特化したシリーズ「プロファンクション」シリーズのニットシャツは、医療と介護の境界がなくなってきている中、リハビリ職から介護職まで幅広い職種に対応するデザインの商品。素材混率は、ポリエステル95%・キュプラ5%。カラーはブルー、ネービー、バーガンディーをそろえた。価格は7200円。

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、医療機関の収益が厳しいこともあり特にクリニックなどは必要以上にユニフォームを調達していないという。半面、感染対策意識から洗い替えを増やすなどの需要も見られる。

 子会社のナガイ白衣工業(秋田県大仙市)ではリユーザブルアイソレーションガウンをはじめとする感染対策商品を生産している。今春には医療機関などにリユーザブルアイソレーションガウン1万枚を寄付している。

〈トンボ/動きやすさと着る楽しみを両立〉

 トンボは「ヨネックス」ブランドの介護・看護向け「メディケアシリーズ」で、「動きやすさと着る楽しみを両立させた」新たなリハビリウエアを打ち出す。ターゲットはシニアだが、高齢者世代も変わりゆく中で、「従来より前向きで活動的なイメージのリハビリウエア」(永瀬公雄執行役員ヘルスケア本部長)を投入する。

 ひと頃に比べシニアの志向もよりおしゃれなものへと変化していることから、ジャケットは杢(もく)調の表面感、パンツはクロップド丈の採用でデザイン性を高めた。クロップド丈は下肢のリハビリに適しているほか、「これまであまり手掛けていなかった」ことから商品構成を充実させる。

 素材は上下ともポリエステル100%。吸水速乾性やストレッチ性など機能性も兼ね備え、リハビリ時の動作に配慮した。

 夏場の暑さ対策のニーズも高まっており、今後、熱中症予防やイージーケア性の面で商品開発を進める。

〈KAZEN WLD/「動体裁断」を前面に打ち出す〉

 KAZEN WLD(カゼンダブリューエルディー)は、プロの医療従事者にとってのメリットを打ち出した品質と、豊富なサイズ・色展開による商品ラインアップを強みとする。

 特に人体、皮膚の解剖分析と衣服理論の相乗化によって衣服の動きやすさを追求した衣料設計システム「動体裁断」を採用した「カゼン 4ディメンションモーション カッティングシステム ウィズ リアン」を推す。レディースジャケット半袖は6400円。レディススラックス4800円。いずれもポリエステル100%。カラーは白、ネービーなどをそろえる。

 新型コロナウイルスの感染拡大以降、介護施設や医療機関などに直接訪問ができないことで、ニーズの把握や販促活動において不自由さが表面化しているという。

 その中で、直接的な接触をガードするため、使い捨ての不織布商品や、代用品としての予防衣長袖、ガウンなどの布製品の需要が伸びているという。

〈明石SUC/ハードな仕事環境を快適に〉

 明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC)は「ルコックスポルティフ」の介護ウエアで、洗濯耐久性に優れた「らくらくニット素材」の採用とアシンメトリーなデザインが特徴的なニットのシャツとスクラブを打ち出す。

 メディカルウエアのデザインの要素を取り入れて開発した。長時間でもストレスなく着用でき、スポーツブランドならではの軽量感や吸汗速乾、UVカットなどハードな仕事環境を快適に過ごせる機能を付与した。

 今期(2021年5月期)に入ってから、介護、メディカルとも売上高は前年同期を上回るペースで推移。ただ新型コロナウイルスの影響で、一部病院や施設でユニフォームの更新が延期されるケースもあり、先行きについては厳しいと見ている。

 病院や介護施設への営業活動がしづらい状況が続く中、新商品のカラーやバリエーションを充実させるほか、価格的にも採用の決定率を高めるようなアイテムを増やすなどして、売り上げの維持・拡大に努める。

〈セロリー/ティオティオを“抗ウイルス”で〉

 セロリー(岡山市)は介護ウエアで、抗菌・抗ウイルスや消臭などに効果がある空気触媒加工「ティオティオプレミアム」を施した新たなポロシャツ「実力ポロ」を打ち出す。これまでティオティオの商品は、どちらかと言えば消臭の機能で認知されていたが、衛生関係のニーズが高まる中、改めて抗ウイルスの機能を前面に訴求する。

 介護の主力ブランド「アイフォリー」で投入し、商品構成を充実させる。着丈の長さで2タイプを用意。両方ともボタンダウン仕様で、工業洗濯に対応している。

 着丈の長さが通常のタイプは、胸元に縦型のスラッシュポケットを配置した。スマートフォンが入る大容量サイズで、中身を落としにくい構造を工夫。ポケット回りは比翼仕立てを採用し、部分的に見えるストライプ柄でワンポイントを加えた。

 かがんだ時にインナーが見えないように、着丈の長いタイプも用意。両腰と右の後ろ腰にポケットを配し、収納性を高めた。

〈ボンマックス/コロナ対策品に取り組む〉

 ボンマックスは、5月から社内に「コロナ対策本部」を設立し、新型コロナウイルス対策品として、不織布マスクをはじめ、アイソレーションガウン(医療用)、フェースシールド、冷感マスク、クーリングマスクなどを企画、製造、販売している。

 アイソレーションガウンは国内製、海外製共に在庫備蓄している。撥水(はっすい)性があるポリプロピレン不織布製。医療機関だけでなく介護施設でも感染防止アイテムとしての採用が多くなっているという。今夏発売した「接触冷感マスク」「クーリングマスク」は8月末時点で約40万枚を販売。

 今後も介護、メディカルウエア事業では、介護現場の実情をリサーチし、現場で働く人の声をもとに、現場での困りごとを解消しつつ、ファッション性の高い商品を提案していく。

〈カーシーカシマ/北欧デザインを取り入れ〉

 カーシーカシマは、介護ウエアブランド「ハートグリーン」から「スカンジナビアパターンコレクション」を提案。

 暮らしにデザインが溶け込んでいる介護先進国北欧の文化にインスパイアされ、スウェーデンやフィンランドで活躍するテキスタイル、グラフィックデザイナーとコラボレーションしたライン。ライフスタイルに溶け込んだ介護空間をデザインする。

 北欧をイメージしたカラーを取り入れた各アイテムは、ブルゾン(ウッドベージュ、レイクネービー)9800円、シャツ(フィヨルドグレー、フィヨルドネービー)6800円、テーパードパンツ(ウッドベージュ、レイクネービー)8千円、エプロン(スモールタウン、アップル、フラワー、ハウス、カラーライン)4400~5900円。素材はいずれもポリエステル100%。

〈シーユーピー/オフィスのようなフォーマル感〉

 シーユーピー(岡山市)は介護ウエアの高価格帯のブランド「アイナ」から、新たにジャケットを打ち出す。

 ジャージーやカーディガンなどが介護の上衣の主流だが、新商品はオフィスウエアのようなフォーマル感に特化。施設利用者に信頼感や安心感を与える新たなスタイリングとして提案する。「洗練された、良い意味で介護らしくないデザイン」(伊藤孝恭社長)に仕上げている。

 介護士のイメージ向上にもつなげることで、人手確保のためのリクルートツールとしてもアピールする。

 生地は、吸水速乾性やストレッチ性を備えたポリエステル100%を使用。丸編みながら織物に近いツイル調の風合いできちんと感を高めている。

 デザインはベーシック路線で、ノーカラー、スラッシュポケットなどを配した。袖は部分リブにすることでスポーツテイストを加えつつ、通常のリブよりもカジュアルになりすぎないよう細部に工夫を凝らしている。

〈アイトス/働く人のモチベーションを〉

 アイトス(大阪市中央区)は自社ブランド「アイトスプラス」から、動きやすさや快適さなどの機能性を重視した介護向けの半袖ポロシャツを投入する。好評を博しているサイドポケットが付いたシリーズから新作として発表する。

 働く人のモチベーションを高めるデザインをコンセプトに企画した。サイドのネービーの配色でシルエットを引き締めることによって、スタイリッシュなイメージを演出している。ボタンダウンの採用で襟元をすっきりと見せ、着丈は尻がちょうど隠れる長さに仕上げた。

 サイドポケットだけでなく、左胸とバックサイドにも1カ所ずつポケットを配し、収納力を高めている。