帝人グループのタイ関係会社/工業繊維は回復基調も/防護服用途などへの転換加速

2020年09月15日 (火曜日)

 新型コロナウイルス禍によって経済に大きな打撃を受けたタイ。自動車生産台数が減少したことで工業繊維の需要も減退している。帝人グループのタイ関係会社で工業繊維の製造や加工を担う各社は対応を進めている。工業繊維は一部で回復基調となっているが、新型コロナ禍前の状態に回復するには時間がかかると分析しており、防護服など影響の少ない分野への転換を加速させる動きも強まった。

 タイヤコード織物製造のテイジンFRAタイヤコード〈タイランド〉は4~6月に需要の急減に見舞われた。7月以降も市況の回復に力強さがない。一部中国向けは需要が急回復しているものの、それ以外の市場は受注低迷が続く。

 同社では2021年以降には市況は持ち直すと見ているが本格的な需要回復にはかなりの年月を要するとする。このため当面は販売数量の拡大よりも利益率向上のための商品構成改革や低コスト化のための生産体制転換に重点を置く。

 ベルト・ホース補強用コード製造販売のテイジンコード〈タイランド〉も内需、対日、その他海外向けともに自動車用途を中心に受注が落ち込んだ。稼働率も4~6月は一時60%前後まで低下。自動車用途は10月以降に回復を見込んでいるが、やはり新型コロナ前の状態に戻るには来年いっぱいかかるとみる。

 こうした中、今後は既存の主力商品の新規取引先の開拓や新商品開発による拡販に努め、現在の需要落ち込みを補うことを目指す。

 アラミド繊維関連も厳しい市況となった。アラミド繊維・樹脂製品製造販売のテイジンコーポレーション〈タイランド〉はバグフィルター用途を中心に4~6月は内需、対日、対米、対中いずれも販売が減少した。ただ、欧米向けの防護服用途などは販売が増加している。

 新型コロナ禍の影響で自動車やバグフィルター用途は需要の減退から徐々に回復傾向にあるが、依然として先行きは不透明。一方、消防服など防護服用途は新型コロナ禍の影響が小さい。このため同社は外部環境の変化の影響が少ない防護衣料用途への傾斜を一段と強める。