伊藤忠・岡藤会長CEO/「か・け・ふ」経営で成長/繊維は着実に利益積み上げ

2020年01月29日 (水曜日)

 2010年を100として、この10年間で株価が3・7倍、時価総額が4兆円突破、連結純利益が3・1倍――。伊藤忠商事の岡藤正広代表取締役会長CEOはこの10年間の同社の成長を「か・け・ふ(稼ぐ・削る・防ぐ)」経営の結果であると28日、大阪で開いた会見で述べた。

 岡藤会長CEOはこの10年間の成長を呼び込んだのは、ロスの大きかった部署や組織を統合したり、無駄な業務を廃したり、赤字子会社を整理するなど「基本に忠実にやってきたに過ぎない」と強調。ビジネスの次世代化に挑戦しながらも、地に足を着けた会社運営が業績伸長の原動力であると説明した。

 20年3月期の連結純利益については、目標通りの5千億円で着地する見通しであると述べた上で、「最も当社が輝けた年だったのではないか」と振り返った。その理由として、業績はもちろん、朝方勤務などの働き方改革を推進して学生の就職希望企業のトップを走り、数々のIR表彰を受けるなど「社会的に高い評価を得られた」ことを挙げた。

 自身の出身でもある繊維カンパニーについては、既存事業の幅出し、進化によって純利益300億円を常時稼ぎ出すことは十分に可能であると強調。その上で着実に利益を積み上げていく方向性が望ましいとした。

 その中身については「請負だけでは先がない。いかに付加価値を引き上げていくかが大事」とした一方、「ブランドだけで通用する時代でもない」とし、あらゆる情報からヒントを見つけ、すぐに動いて形にしていくことが重要だと話した。