東洋紡STC/生分解性ポリエステル展開へ/回収の仕組みの構築も

2019年12月05日 (木曜日)

 東洋紡STCは、生分解性ポリエステルを開発した。堆肥(微生物)によって二酸化炭素(CO2)と水に分解でき、長繊維と短繊維とも生産が可能。製品の販売だけでなく、回収・運搬と分解までを含めたビジネスモデルを作る。早い段階で仕組みを構築し、ユニフォームやスポーツ用途などに訴求する。

 「D―earth(ダース)」ブランドで展開する。糸特性などはレギュラーポリエステルと同等の特性を持つが、適切な環境下において微生物の力で分解される。実用に近い織物での生分解性テストを実施中。重合触媒には一般的なPET樹脂生産に用いられるアンチモンなどの重金属を使用しておらず、その面でも環境に優しい。

 ダースを使った製品を販売、使用済み製品を回収・運搬し、堆肥分解するというビジネスサイクルを顧客と一体となって作り上げる。「糸の生産技術は確立しており、回収と運搬が大きな課題として残っている。回収の仕組みを既に持っている企業や分野との取り組みが先行するかもしれない」としている。

 想定している用途は、ユニフォームやスポーツ、シャツなど。ダース100%を使った製品の展開を理想とするが、より使い勝手の良い綿混素材で面を広げることから始める。販売開始の時期については「現段階ではめどが立っていない」としている。

 環境負荷低減に貢献する素材では、「エコールクラブバイオ」を新投入する。PET樹脂の粗原料であるモノエチレングリコールの一部を、石油由来からサトウキビなどの搾りかす(不可食部)に置き換えた。植物由来成分の含有率は30%となる。

 化石資源の利用低減やCO2排出量削減につながり、染色性や物性面はレギュラーポリエステルと比較して遜色はない。作業用ユニフォーム用途などで提案を始める。糸種は84デシテックスと167デシテックスをそろえているが、バリエーションの拡充も進める。

 ダースやエコールクラブバイオなどの素材は、今日5日まで東京都千代田区の神田明神ホールで開催中の「21春夏東洋紡グループ繊維総合展」で見ることができる。大阪展は10~12日に同社本社で開く。