トンボ・スポーツMD部/来入学商戦新規100校見通し/昇華転写プリントが貢献

2019年12月03日 (火曜日)

 トンボのスポーツMD部は来入学商戦、自社ブランド「ビクトリー」とライセンスブランド「ヨネックス」の新規採用校数がそれぞれ約100校となる見通しだ。

 昨年に続き両ブランドの販売に貢献する昇華転写プリントは、新規採用のうち6割を占める。ビクトリーのみで展開するウオームアップウエア「ピストレ」にも活用。軽量で防風性に優れた素材「ピステックス」を使用し取引先の評価が高いピストレに、昇華転写プリントのデザインを施すことで相乗効果が生まれている。学販のみならずブラスバンドやマーチングバンドなど部活動のチームウエアにも広がる。

 昨年に開所した縫製のトンボ倉吉工房スポーツ館(鳥取県倉吉市)は、初年度に計画していた年間4万点の生産量を達成。来年には現在の3ラインを4ラインに増設し、生産能力を増強する。

 営業統括本部の河本光正スポーツMD本部長は「昇華転写プリントは、採用の拡大で今後は約15%の生産力の増強が必要。引き続き人員や協力工場を確保し、安定供給を目指す」と語る。

 同社は19年6月期で売上高が前期比6・4%増の48億5千万円と堅調だったが、今期は50億円を目指す。

〈「いい服の日」表彰式/学生のアイデアが刺激に〉

 トンボは11月29日「いい服の日」にちなみ、さん太ホール(岡山市)で第10回「1129トンボデザインコンクール」の表彰式を開いた。応募総数は過去最多の1万5千点弱となり、最優秀賞、優秀賞の作品を実際に製品の形にしてファッションショー形式で紹介。若い感性による瑞々しくオリジナリティーあふれる作品に対し、近藤知之社長は「(事業の)刺激になる。考え方を取り入れていきたい」と話した。同社社員のほか、中学校・高校の生徒・教員など約200人が参加した。

 いい服の日は「11月29日」の語呂合わせで制定。ブランディング活動として2007年から進める。昨年初めた体育着デザインコンクールと合わせて実施したため、応募総数は前回より約4千点多い1万4874点となった(制服デザイン部門5151点、アイデア部門1963点、体育着デザイン部門1112点、プリント部門体育着の部3627点、同部活動の部3021点)。それぞれの部門で最優秀賞、優秀賞を選定。応募が多かった10校には学校賞を贈った。

 制服デザイン部門の最優秀賞は国際アート&デザイン大学校高等課程1年の持舘さくらさんの「ほのかに香るブリテッィシュモダン」で、英国紳士・淑女をイメージしフォーマルさやエレガントさなどが引き立つデザインに工夫を凝らした。選定委員を務めたデザイナーの松倉久美さんは「色、形、テーマのバランスが良い。ブリティッシュモダンをベースに流行を取り入れている」と評価した。

 アイデア部門の最優秀賞は川崎市立南加瀬中学校2年の木下結菜さんの「がったい!!スカート&ズボン!」で、体育着をスカートの内側にチャックで取り付けられる構造となっている。実行委員長を務めた恵谷栄一取締役は「商品化を検討したい」とコメント。

 受賞に当たり持舘さんは「去年は入選だったけれど今年は最優秀賞が取れてうれしい」、木下さんは「2次元の作品を3次元の形にしてもらえてすごい」と喜びを語った。