商社繊維事業のいま 2019年4~9月期決算から(1)/12社中10社が減収 利益はまだら模様

2019年12月02日 (月曜日)

 商社の2020年3月期の4~9月期決算が出そろった。前年同期は繊維事業で減収を計上した商社は13社中4社だったが、今回は12社中、帝人フロンティアとヤギを除く10社が減収を強いられた。「かつてないほど事業環境が悪化している」(商社幹部)といった指摘を裏付ける結果と言える。国内衣料品消費の低迷や世界経済の先行き不安が影響したもようだ。利益は各社まだら。構造改革の進展やコスト低減策の成果が出た一方、大幅減益を強いられたところもあった。

 伊藤忠商事は前年同期比5・8%の減収ながら、アパレル関連事業の堅調な推移や経費の削減によって営業利益は2割強伸びた。一方、最も重視する純利益は、エドウインの固定資産売却益はあったものの、前年同期の海外アパレル関連事業の売却益の反動で減少した。

 わずかながらも売り上げを伸ばしたのが帝人フロンティア(帝人の繊維・製品事業)とヤギ。帝人フロンティアは、衣料繊維は低調だったものの、自動車向けを除くインフラや水処理向けといった産業資材が好調に推移した。ヤギは、原料販売が5・5%減収、テキスタイル販売が8・3%減収と振るわなかったものの、売り上げ構成比率で7割を超える製品OEM/ODMが4・4%増と奮闘し、繊維事業全体の1・2%増収に貢献した。

 2桁%の減収だったのは、日鉄物産とGSIクレオス。日鉄物産の減収要因は主に、子会社株式の売却による連結範囲の変更。一方、小ロット・短納期対応やロスの低減により営業利益は27・6%増と大きく伸ばした。GSIクレオスは、中国でのインナー製品OEMや欧米向けアウター用生地は増加したものの、アウター製品OEMやインナー用機能糸・生地の海外販売、パンスト・タイツ用加工糸の取引などが減少した。