チャイナナウ/伊藤忠商事 東アジア繊維グループ長 友定 宏之 氏/スポーツ向けOEMが好調

2019年09月18日 (水曜日)

 中国アパレル市場では、カジュアルとレディースが苦戦する一方、スポーツの好調が続いている。こうした中、スポーツ最大手の安踏体育用品との提携などを生かし、好業績を上げるのが伊藤忠商事。東アジア繊維グループ長で、伊藤忠繊維貿易〈中国〉(略称ITS)董事長の友定宏之氏に、アパレル市況や同社内販の現状を聞いた。

(上海支局)

  ――中国経済の現状をどう見ていますか。

 減速感が強まり、消費の伸びも鈍化しています。ただ一部の市場は引き続き拡大しており、我々の内販の顧客も業績を伸ばしています。

  ――アパレル市況も厳しい。

 ローカルのカジュアルやレディースが苦戦する一方、スポーツは好調です。ローカルのスポーツブランドは欧米ブランドを研究し、合理的なコスト構造を築き、価格と価値のバランスの取れた商品を展開しています。一方、カジュアルやレディースは価格が割高で、商品の精度も低い。消費者が価格と価値のバランスを理解する中、苦戦しています。

  ――カジュアルやレディースの苦戦は今後も続くのでしょうか。

 海外の大手が中国市場にテイストを合せてきた際、ローカルブランドは太刀打ちできるのでしょうか? 相当厳しいでしょう。ファッション企業としてポリシーを持っているところだけが生き残るのではないかと思っています。

  ――伊藤忠商事は安踏体育用品などと「デサント」ブランドの製造販売合弁を設立するなど、ここ数年、中国のスポーツ分野での取り組みを強化してきました。

 安踏をはじめローカルのスポーツアパレルとの取り組みは順調に拡大しています。まだまだやれること、やらなければならないことがたくさんあります。

  ――ITSの足元の業績は。

 スポーツウエアOEMがけん引し、紙おむつ用不織布も伸びたことで、1~6月は大変好調な業績となりました。ただ下半期は景気減速が内販にも影響してくるでしょう。資金繰りに行き詰まる企業も増えると思われるため、与信管理に従来以上に厳しく取り組みます。

 一方、ITS内に今年4月、次世代ビジネス部門を設け、新ビジネスの開拓を加速しています。幾つかの案件は間もなく具体化できそうです。