テイジン・フロンティア〈タイランド〉/内需アプローチ加速/バーツ高への対策急ぐ

2019年08月07日 (水曜日)

 【バンコク=泉克典】帝人フロンティアのタイ法人、テイジン・フロンティア〈タイランド〉(TFRT)は内販の拡大を目指す。生地では現地アパレルへの販売拡大に加え、ユニフォーム用途の開拓にも取り組む。帝人フロンティアが、インドネシアでのOEMを来年から拡大する不織布用高機能ポリエステル短繊維では、タイや周辺国への販売を担い、現地需要の拡大にアプローチする。

 鎌田進社長によると今上半期(2019年4~9月)は、現在7割を占める日本向けも含むドル決済の輸出販売が、衣料繊維、産業資材を問わず、バーツ高定着によって「採算悪化でしんどい」状況と言う。この為替環境が恒常化する気配もあり、輸出品目では、生産管理強化による効率生産・ロス削減の追求による採算性向上に引き続き重点的に取り組む。

 さらに重視するのは内需へのアプローチ強化。生地販売では、現地卸商向けの販売減を現地アパレルへの拡販で多少はカバーしたが、「中国の景気減速に伴う中国製生地の輸出攻勢による競合激化で市況は厳しい」。

 打開策となるのがユニフォーム分野の開拓。失業率が極めて低いタイでは人手不足を背景に労働環境改善の機運がある。ここに、スポーツウエア用生地をアレンジした快適性の高い工場ユニフォーム用途など「提案型商品にチャンスがある」とみる。

 今期業績への寄与は小さいが、長期的に期待が大きいのが高機能ポリエステル短繊維の周辺国も含めた販売拡大。帝人グループは、連携するインドネシアのTIFICOでの高機能わたのOEMを来年から拡大予定で、TFRTは国内およびマレーシア、台湾への供給を担い、これらの地域の衛生用品メーカーの開拓に取り組む。

 主力の産業資材分野は、タイヤコードがここまで堅調に推移。テイジン・コード〈タイランド〉が生産するゴム資材用シングルエンドコードは生産増強後もフル生産が続く。タイ生産に完全移管を進めテイジン・FRA・タイヤコード〈タイランド〉で生産するタイヤコードも、供給先の品質承認が終了した品種が順次加わり販売増にも寄与。「東南アジア市場にはまだ拡大余地がある」とみる。ただし、バーツ高に伴う利益圧迫に加え、供給先の審査厳格化による承認ペースの遅れなど若干の懸念材料もある。

 カーシート地は、これまで好調だったタイ国内での自動車生産台数がここに来て減速傾向にあり、供給先の大口新車種のモデルチェンジ立ち上げ時期が延びていることで上半期、苦戦した。