繊維機械の最新技術を披露/ITMAバルセロナが開幕

2019年06月24日 (月曜日)

 【バルセロナ=星野公清】4年に1度開かれる国際繊維機械見本市「ITMA2019」が20日、スペイン・バルセロナで始まった。繊維機械の最新技術が披露される場として世界から注目を集め、会期中は世界147カ国から12万人の来場が予測されている。初日は天候にも恵まれ、開幕と同時に多くの来場者でにぎわった。

 今回展の展示面積は約20万平方メートルで、45カ国から約1700社が出展している。出展企業数は2年ごとに上海で開かれる国際繊維機械見本市「ITMAアジア+CITME」(18年は出展1733社)と同水準の規模だが、こちらはより実ビジネスに近い展示会。4年ごとに欧州で開かれるITMAは革新技術や次世代に向けたコンセプトを発表する場として世界から注目を集める。

 今回も豊田自動織機が次世代に向けた精紡機と織機のコンセプトモデル、ITEMAが新しい緯入れ機構のフライングシャトル織機を発表するなど新たな技術の提案が多く見られる。

 近年の流れでもあるモノのインターネット(IOT)、人工知能(AI)の技術を駆使した、省人化、自動化の提案が加速しているほか、新型機の発表の場としても引き続き重要な場となっている。村田機械が渦流精紡機「ボルテックス」の新型機、TMTマシナリーが新たに開発したナイロン専用の仮撚り延伸加工機、日阪製作所が液流染色機「サーキュラー」の新機種「CUT―ZR」を初披露するなど見どころの多い展示会となっている。

〈豊田自動織機/次世代のコンセプトモデル発表/ポット精紡の概念で〉

 豊田自動織機はITMAバルセロナの会場で、精紡機とエアジェット織機のコンセプトモデルを初披露した。

 精紡機は次世代機「Helix(ヘリックス)」を提案した。ポット精紡の概念を活用して開発した新技術を取り入れ、リング紡績と同等以上の糸品質で、生産性を大幅に引き上げることができるという。会場では限られた顧客に対し、綿糸の実演を行った。同社によると、ポット精紡の概念は以前からあるものの、製品化した企業はまだないという。今回はコンセプトの発表であり、市場の声を聞きながら今後の方向性を決めていく。

 エアジェット織機では「JAT810」の次期モデルのイメージを示したコンセプトモデルを展示した。省エネ、省エア、IoTによる自動化などに焦点を当てた。緯入れ性能の見直し、制御装置の改良などによりさまざまな素材に対応する汎用性を持ちながら従来機以上の省エネを実現している。