伊藤忠商事/繊維の最強集団めざす/各部門長が今期方針提示

2019年05月17日 (金曜日)

 既報のように伊藤忠商事繊維カンパニーは2019年度、「商いの次世代化」などに取り組み、過去最高となる純利益330億円を目指す、各部門長の方針は次の通り。

 【ファッションアパレル部門長・清水源也常務執行役員】

 第一に取り組むのは、デサントの企業価値向上だ。20年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、スポーツビジネスを深掘りしていく。

 2月に出資した米国・ライクラ社のスパンデックス繊維「ライクラ」など競争力のある素材を拡充する。原料から製品まで主導権を持ったバリューチェーンを構築する。

 投資先である日本環境設計の再生ポリエステルやフィンランドのメッツァ・グループとの合弁工場で作るセルロース繊維など、環境配慮型素材の拡充にも取り組む。

 国営ベトナム繊維・衣料グループ(ビナテックス)が持つ巨大な生産インフラを活用し、グローバル戦略を推進する。

 三景やエドウインなどの事業会社が相乗効果を発揮することで、「繊維の最強集団」を作り上げる。

 【ブランドマーケティング第一部門長・三浦省司執行役員】

 4月にクラウドファンディング国内最大手のキャンプファイヤーと資本提携を結んだ。同社のプラットフォームを活用し、ブランドビジネスの次世代化を加速させる。

 繊維カンパニーの重要戦略の柱であるオムニチャネル化の基盤作りにも取り組む。

 2月には、ベネッセが展開する「しまじろう」ブランドのタイでのアニメ放映権とマスターライセンス権を取得した。「モノからコトへ」の流れに沿ったコンテンツビジネスも前向きに検討する。

 小規模な部門だが、きらりと光る存在感を示していきたい。

 【ブランドマーケティング第二部門長・福嶋義弘執行役員】

 種をまいたEC(電子商取引)事業の収益化を課題とする。最近では、オンライン上で現実空間に近い体験ができるソフトを開発するFyusionや、会員制オンラインブティック「ミレポルテ」に資本を投入した。自社EC化率の引き上げに力を注ぐ方針で、当面の目標値を10%に設定した。

 繊維資材の多角化を進める。オムツの販売は、中国で市場を開拓したが、現在は差別化が困難になっているため、ロシアなどにも市場を広げていく。

 人材の底上げも重要課題だ。若手をビジネスの最前線に送り込み、成功体験を積ませる。