特集 北陸産地(3)/北陸産地の技術力を支援する繊維機械

2019年03月26日 (火曜日)

〈「R9500」は第2世代機に/イテマ〉

 イテマはこのほど開発した旗艦レピア織機「R9500」の第2世代機「R9500セカンドジェネレーション」を北陸産地など日本市場に投入する。大幅な省エネ性能向上などを打ち出し、さらなる需要の掘り起こしを進める。

 R9500セカンドジェネレーションは動力部に新型モーターと油冷システムを導入し、メインドライブ機構の改良などでエネルギーロスを大幅に削減することに成功した。同社の試算によると、従来のR9500と比較して最大10%のエネルギー消費削減が可能になるという。さらに綜絖(そうこう)枠24枚のドビー搭載も可能にした。ターミナルコンソールの性能も向上している。

 新機種の投入に加えて、日本法人のイテマウィービングジャパンによるアフターサービス体制の充実も強みとして打ち出す。北陸産地などでの設備更新需要の掘り起こしを進める。そのために2019年内には日本で実機稼働を見せる内覧会の実施も検討する。

〈準備機械をバージョンアップ/ストーブリ〉

 ストーブリは北陸産地に向けて自動ドローイング機「サファイアS30」など準備機械の提案を強化する。サファイアS30はバージョンアップ機の提案を開始した。

 現在、北陸産地などではサファイアS30の引き合いが増しているが、このほど第2世代機にバージョンアップ。これまで対応可能な綜絖枠は12枚だったが、これを16枚まで拡大した。光学センサーで糸の色やS撚り・Z撚りなどを識別して処理する「アクティブワープコントロール」機能もフル装備となる。

 新型タイイング機である「タイプロ」の量産型も今年中には市場投入したい考え。紡績糸向けだが、独自の新方式糸取り機構を実用化した。ニードルレスで畦糸の有無にかかわらずタイイングが可能となる。

 そのほか販売好調が続く上置き型積極ドビー「3061」も北陸産地で引き続き拡販を目指す。メンテナンスフリーの耐久性の高さを生かし、更新需要などの取り込みを目指す。

〈エアジェット織機で導入実績/ピカノールとエディー〉

 ピカノールと日本販売代理店であるエディーは、北陸産地に対してエアジェット織機「オムニプラスサマム」、レピア織機「オプティマックス―ⅰ」の提案を進めている。ここに来てエアジェット織機で納入実績を上げるなど成果が出てきた。

 エディーによると北陸産地への販売の勢いが出てきた。既にエアジェット織機は複数台を納入済み。さらにレピア織機の商談も進行中だと言う。設備更新需要もあって特に資材用途での引き合いが強い。広幅の積極レピア方式も擁することが強みとなる。

 このため北陸地区にテスト機を設置することも検討。ピカノールとエディーでは技術サポートを担当する“チーム・ピカノール”を結成してアフターサービスの拡充にも取り組む。

〈ドルニエで資材分野深耕/伊藤忠システック〉

 伊藤忠システックは、ドルニエの積極レピア織機の提案で、特に資材分野への販売を強化する。繊維機械商社として日本でニーズのある海外メーカー製準備機・加工機の紹介にも力を入れる。

 同社が輸入販売するドルニエのレピア織機は、棒レピアによる積極方式で圧倒的な緯糸挿入能力を持つ。このため主に産業資材向け製織で高い信頼性を特徴とする。2017年には大口の導入があるなど日本でも実績は豊富。17年の販売好調の反動で18年はやや一服したが、引き続き産業資材用途での提案を強化することで販売拡大を目指す。

 海外メーカーの準備機や加工機の紹介にも力を入れる。例えば撚糸機などは既に国内メーカーが新型機の開発や生産からは手を引いている。このため産地での設備更新需要に応えるために、日本の産地に適した性能を持つ海外製機械の紹介に取り組む。

〈津田駒工業 取締役 寺田 武志 氏/省力化など付加価値高める〉

 津田駒工業の繊維機械事業は2018年11月期、連結売上高で前期比7・1%増、営業利益は30・6%増だった。「中期経営計画2020」2年目の方針を、寺田武志取締役繊維機械事業統括兼繊維機械販売部長に聞いた。

  ――前11月期、繊維機械事業は好業績でした。

 環境規制強化を背景に中国へのウオータージェット(WJ)織機輸出が拡大したのが主要因です。中国子会社は月100~150台と前期並みですが、日本からの中国・台湾輸出は倍増の2千台に増えました。インドは後半伸び悩み。銀行の融資審査が厳しく、LC(信用状)発行が遅れたためです。東南アジアは台湾企業のベトナム投資が活発で、日本もモノ作り補助金を背景に堅調でした。

  ――今期の見通しは。

 中国は米中貿易戦争で様子見の声もありますが、需要は堅調で心配していません。インドは5月の総選挙後、後半は持ち直し、ベトナムはさらに増えるとみています。

  ――その中で課題は。

 中国・インドが60%超を占めますので、パキスタンやバングラデシュなど販売先の多角化を図ります。省力化・自動化のニーズも高く、その装置開発も重要です。6月の「ITMA2019」は新装置を出品する予定で、利益率向上のためにも高付加価値化を図ります。「インターネットサポートシステム」も軌道に乗せたいと考えています。機業と当社が結び付き、稼働状況などを把握できるもので、海外中心に試験中。あと少しで実用化できる段階です。

  ――海外主体ですが、北陸産地の位置付けは。

 北陸のさまざまなニーズに対応することは海外販売の拡大に結び付きますので、開発の拠点でもあると考えています。