デサント・田中取締役/「TOB成立は不可避」/伊藤忠商事との協議模索
2019年03月01日 (金曜日)
デサントの田中嘉一取締役専務執行役員は2月28日午前11時から「繊維ニュース」の取材に応じ、伊藤忠商事によるTOB(株式公開買い付け)について「成立は避けられない」とした上で「企業価値を損なわないために話し合いを模索する」と述べた。TOB対抗策のための新中期経営計画の前倒し発表はしない考えも示した。
伊藤忠商事は、TOB成立後のデサントの役員構成について、6人の取締役の内訳を伊藤忠商事、デサント、社外からそれぞれ2人ずつ出す提案をしている。一方、デサントは2月上旬に出したTOB反対声明で、5人の取締役のうち4人を社外から選任するとしていた。田中取締役は「社外取締役が過半数を満たせば(4人に)こだわらない」と話し、個人株主の権限やガバナンスを最優先する。
デサントは、労働組合やOB会もTOB反対を表明している。「従業員や取引先、株主の利益を守るためにリスクを軽減する仕組みづくりをしたい」と強調し、株主総会での委任状争奪戦を避けるための着地点を探る。
田中取締役は、メーカーと商社の時間軸の捉え方の相違についても触れた。「デサント」ブランドを十数年かけて育てた実績を挙げ「経営は継続性が大切。考え方が異なる体制に変わることは、デサントの企業価値を上げることにつながらない」と危惧した。
2020年3月期から3カ年の新中計では、米国や東南アジアに積極投資する。米国でデサントブランドのアスレチックウエアを展開し、販路を広げる。事業拡大を急ぐ中国でも店舗をさらに増やす。ワコールとの業務提携では「東京五輪に向け共同開発した新商品を発表する」と話し、双方の技術を取り入れた商品開発を進める。