タイ・クラボウグループ/紡織加工連携で高付加価値化

2018年09月11日 (火曜日)

 紡織のタイ・クラボウ(TKC)、紡績のサイアム・クラボウ(SKC)、染色加工のタイ・テキスタイル・デベロップメント・アンド・フィニッシング(TTDF)で構成するタイ・クラボウグループは、紡織加工の連携を強め、独自の高付加価値テキスタイル開発を加速させている。さらに原綿改質による生産プロセスの改良などにも取り組み、事業の高度化を目指す。

〈差別化品開発で輸出強化/TKC、SKC〉

 TKCの2018年度上半期(1~6月)業績は、販売量こそ堅調に推移したものの、バーツ高による輸出競争力低下や原燃料高で収益性が低下した。

 同社の販売は90%が輸出、10%がタイ内販となる。佐野高司TKC社長兼SKC社長によると、輸出の大部分を占める日本向けはユニフォーム地が安定しており、SPA向けも数量は確保できている。ただ、コストアップなどで収益性が低下した。

 一方、欧米向けは「パンツ地を中心に高付加価値品開発と提案で販売数量は前年同期35%増となった」と成果が上がる。タイ内販もユニフォーム地を中心に堅調だった。17年度は苦戦したSKCも回復基調。主力のデニム糸は海外のデニムメーカー向けで受注が回復した。

 18年度下半期に関して佐野社長は、「これまで生産基盤の整備を進めてきた。TKCはBC反の発生率を抑えるなどロス削減で生産効率向上に取り組む」と話す。SKCでは、原綿改質でのり剤使用量を削減できる紡績糸の開発などに取り組み、TKCと連携して生産プロセスの改良につなげることを目指す。モノのインターネット(IoT)を含めた自動化投資にも取り組む方針。

 開発ではTTDFとの連携を強化し、紡織加工の技術を融合させた差別化テキスタイルに取り組む。綿100%麻調織物や綿・HWMレーヨン・PTT(ポリトリメチレン・テレフタレート)繊維複合素材などを既に開発し、欧米アパレルに採用されるなど成果も上がる。こうした高付加価値品で日本向けや欧米向けの輸出拡大に取り組む。

〈生産性向上へ積極投資/TTDF〉

 TTDFの18年度上半期(1~6月)業績は増収増益だった。加工数量は若干減少したが、高付加価値加工が増加したことで加工単価が上昇した。

 上野秀雄社長は「SPA向けの加工が堅調。ベトナムやバングラデシュ、ミャンマーなどでの縫製に向けた生地供給でTKC・TTDFラインが成功している」と話す。加工の高度化も進み、現在ではストレッチ品や起毛品の染色加工が定番化した。

 一方、最大の課題はコスト上昇となる。上半期はカセイソーダなど助剤やエネルギー代が高騰し、下半期からは染料の異常な高騰の影響がのしかかる。このため下半期の課題は「いかにコストダウンを実現するかにかかっている」と言う。

 中でも生産性向上への投資を積極的に実施する。17年に廃水処理関係や設備保全関連で投資を既に実施した。今期はオンライン自動測色機を導入するほか、薬剤の自動調液設備も更新する。「タイでも徳島工場と同様の予防保全体制を整備する」ことを目指す。