特集 2018春夏 オフィス&サービスウエア(2)/経営陣に聞く 2018年展望

2018年01月31日 (水曜日)

〈サンペックスイスト 社長 宍戸 典之 氏/自社工場の機能拡充〉

 2018年2月期は前半は予算、売り上げともにクリアしたが、後半に入りオフィスウエアがやや苦戦している。受注の数は多いが、規模が小さい印象がある。

 18年はユニフォームメーカーとして、自信を持って売れる商品を作る。まず品質向上のために昨年10月に埼玉県熊谷市の物流拠点に検品センターを立ち上げ、体制を整えた。

 白衣中心だった宮城の自社工場の機能も拡充する。今夏にベトナムの実習生ら縫製技術者を増やし、オフィスウエアも生産できるようにする。納期短縮を目指し、国内は最長45日間、海外は3カ月以内で対応できるよう生産体制を見直す。

 18年春夏は、2つあった飲食サービス向けのカタログを統一し、新商品を大幅に増やす。時代のニーズに合ったウエアを提供する。

〈住商モンブラン 社長 長尾 孝彦 氏/3本柱果敢に伸ばす〉

 上半期(2017年6~11月)の売上高は前年同期比11・5%増の56億6千万円と大幅増収だった。通期では売上高125億円を計画、達成できれば3年後の21年5月期に計画する売上高150億円へ着実にステップを踏むことができる。

 最適商品をできる限り在庫を持って対応できることが強みになってきた。できるだけ当社の商品を取り扱おうとする取引先が増えるとともに、他社商品を取り扱う販売代理店も当社と取引したいという意識が芽生えてきたことも、追い風になりつつある。

 今年は従来とは違う新商品の投入も計画している。市場で圧倒的なシェアを持つ「食品白衣」、かなりシェアを高めつつある「飲食サービス」、挑戦者として積極的な市場開拓に取り組む「メディカル・介護」を3本柱に、市場を果敢に伸ばしていきたい。

〈ボンマックス 社長 外川 雄一 氏/V字回復へ総力〉

 2018年1月期は、大口の別注が少なく、売上高は前期の114億円より減る見通し。サービス、ワーキングウエアの売り上げは伸びているが、主力のオフィスが横ばいだった。

 18年春夏は、全ジャンルで多くの新商品を投入する。オフィスウエアはブラウス44型を展開し「ブラウスといえばボンマックス」と認知されるようかじを切る。制菌加工など機能に優れ、価格も5千円台に抑えた。サービスウエアは「リー」ブランドのアイテムを拡大する。

 デジタルへの投資も進める。オフィス、サービスウエアの全商材に無線識別(RFID)機能を持つICタグを付け、モノの流れをつかむ。昨年、営業支援ツールも投入した。並行して組織の構造改革も進め、全社挙げてV字回復を目指す。

〈アイトス 社長 伊藤 崇行 氏/総合化を生かせるビジネス追求〉

 2017年12月期は、売上高が前期比1・5%減の197億円だった。減収だったが、不採算商品を意識的にやめ、カタログの定番商品の売り上げを伸ばしたことで増益は確保できそうだ。今春夏は例年よりも新商品の投入を増やしており、売上高で205億円を計画している。

 課題は在庫であり、オフィスウエアはワークウエアと違い、海外生産ではフォローの難しい商品が多いことから、もっと国内の協力工場の確保に力を入れる。商品的にも専業メーカーが持っていない、総合メーカーとしての強みを発揮していきたい。

 以前よりもオフィスウエアで当社へ問い合わせが増えており、実用新案の特殊パターン設計の「キテミテ体感シリーズ」など独自性のある商品も増えてきた。総合化を生かせるビジネスを追求しながら、市場開拓を進めていく。

〈カーシーカシマ 常務 増田 庸佑 氏/ソフトワーク刷新〉

 今期(2018年7月期)は、銀行や信金といった金融機関を中心に大口の別注が増えている。前期は別注が少なかった分、巻き返しを期待したい。

 18年はソフトワークウエア「キャリーン」を刷新し、6月に発売する予定。ビルのメンテナンスや商業施設の清掃、物流まで幅広い業種を想定している。当社が得意にする「見せる」ユニフォームを全てのブランドで投入したい。

 組織も強化する時期に差し掛かっている。パタンナーやデザイナーを増員し、一歩先を行くウエアを提案したい。デジタル化も進め、需要予測の精度などを高めた基幹システムを年内に再構築する。中国内販も好調で1月から電子商取引(EC)サイトを開設した。サービス向けウエアなどの短納期のニーズに応える。

〈セロリー 社長 太宰 幹夫 氏/変革していく〉

 2017年11月期売上高は約47億円で、前期比2%伸びた。サービスウエアの「WSP」が2%減、別注は極力抑えたこともあり10%減だったが、主力の「セロリー」を中心とするオフィスウエアが前期比5%伸びた。定番商品が拡大したことで、利益率が向上し、増益を確保できた。特にレンタルユニフォーム向けの販売が広がった。

 受注点数が2%伸びたことに対し、出荷率は4%伸び、受注より出荷が伸びたことで納期管理の徹底ができている。即納率は平均で88%に達し、シーズンによっては100%で対応できた。即納率の平均をさらに90~95%に高めることで増収につなげたい。

 今期は企業創立から50周年目となり、売上高50億円を計画する。節目の年であり、変革していく。技術力の向上だけでなく品質・サービス力も高め、目標を達成していきたい。

〈フォーク 社長 小谷野 淳 氏/顧客訴求を強める〉

 2018年1月期の商況は前年に比べ、微増収でメディカルウエアがプラス、オフィスウエアがマイナスだった。顧客への訴求が十分ではなかったと反省している。2月9日に久々の単独展を開き、オフィス、メディカルともに展示する。

 オフィスウエアは文化学園大学(東京都渋谷区)とのパターン開発をさらに進める。シルエットの美しさ、動きやすさといった「究極のコンフォート」を考えながらブラウス、オーバーブラウス、スカートを提案している。

 AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などデジタル化にどう向き合うかも今後の課題。18年はカタログとウェブを連動し、ウエアを全方位で確認できるようにする。販売体制は2月から、メディカルとオフィスウエアそれぞれの営業担当を置き、代理店への提案を明確にする。

〈チクマ アルファピア事業部長 岩崎 敦史 氏/夏物商戦に再挑戦〉

 2017年11月期は前期に比べ、大口の別注が少なく売り上げは横ばいで盛り上がりに欠けた。特に関東は夏から秋にかけて雨が多い天候が影響し、夏物で売り負けた印象がある。

 もう一度夏物で勝負するため、18春夏はアイテムを増やし、オーバーブラウスを中心にベスト、スカート、パンツなどを充実させる。春先の早い時期から動きたい。18年後半から19年にかけては東京五輪のウエア更新の需要にも期待したい。同時に五輪後に需要が落ち込まないよう戦略を立てることも肝要だ。

 輸送コストの高騰や、出荷時間の繰り上げなど物流の課題も大きい。広島県福山市の自社の物流センターで、出荷や返品作業を効率化するRFIDの導入を検討している。販売店のシステムに合わせたメールEDIも行っている。

〈ジョア 社長 神馬 敏和 氏/“土台作り”進める〉

 2017年12月期は、前期比約7%増の13億3500万円前後と増収になりそうだ。今期は売上高14億4千万円を計画する。商品力だけでなく、社風作りやサービス向上、人材育成などから商品を形作る企業としての“土台作り”をしっかり進めていきたい。

 社員全員で顧客満足を高め、マーケティングをするような気持ちで企業の成長を目指し、新たな仕掛けもしていく。

 18春夏では病院事務などをターゲットとする「ハートフルコンシェルジュ」で、英国リバティ社の花柄プリント素材を使った企画を打ち出す。

 一般オフィスウエアの「ベーシック」では、フリーアナウンサーの滝川クリステルさんが動物福祉・生物多様性保全を目的に立ち上げた財団「クリステル・ヴィ・アンサンブル」とコラボレーションし、社会貢献も強める。

〈神馬本店 社長 神馬 真一郎 氏/“地固め”の年へ〉

 上半期(2017年7~12月)の売上高は、前年同期比で微増になりそうだ。受注は前年より増加で推移し、年明け以降、小口・中口物件を中心に問い合わせが増えつつあり、下半期での受注拡大を期待している。

 事務服の市況は、全般的にそれほど悪くない。中でも接客に向けたコミュニケーションツールとしてのウエアは、需要が拡大する傾向にあり、もっと顧客と接するスタイルのユニフォームが出てくる可能性がある。当社では新しい企画担当者を入れ、主力ブランド「美形(ミカタ)」シリーズの企画の底上げを進めてきた。着用者が満足するユニフォームを意識しながら、一段と商品開発力を高める。

 ターゲットを定め、商品企画を強化していくことで、しっかり地固めをしながら、通期(18年6月期)は増収を確保したい。

〈ツカモトユーエス 社長 西村 隆 氏/メンズスーツ好調〉

 2018年3月期は売上高56億円で、過去最高だった前期に比べ減収の見通し。通信や運輸・交通といった業界を中心にウエア更新の案件はあったが、大口の別注が少なかった。

 当社はオフィスウエアが主力だが、最近はホテルのフロントなどサービスウエアで、メンズスーツを投入している。男女ペアで提案することができるため、好調に動いている。18年は地方銀行の再編ラッシュなので金融機関で更新の動きを期待したい。東京五輪を前に交通や警備関係のユニフォームの生産体制も整えたい。

 海外生産のうち75%がベトナム、25%が中国だが、繁忙期の3月や9月はキャパシティーを超えることもあるため、協力工場を増やすことも検討している。ワーキングウエア向けにはミャンマーへの提案も進めていく。

〈ボストン商会 社長 米澤 博 氏/ホテル商材堅調〉

 2017年の商況はホテルのリニューアル案件が追い風になり、スーツタイプの商材が売り上げをけん引した。アミューズメント系のウエアは「B2」ブランドで全国の店舗作りのサポートをさせていただいている。オリジナルウエアも打ち出しており、顧客のニーズにきめ細かく応えていく。

 18年の新商品は、多様なビジネスシーンを想定したニットスーツをメンズ、レディース両方で展開する。伸縮性に優れた素材とウオッシャブル機能を採用し「快適な職場環境」を提案したい。

 2月の展示会は総合展として開催する。アミューズメントでは、小松精練のインクジェットプリント「モナリザ」を使ったウエアを展示する。テキスタイルの柄の再現性が素晴らしく、感性の高いオリジナルパーラーウエアとして、短納期・小ロットで打ち出す。

〈アプロンワールド 社長 矢澤 真徳 氏/飲食店に更新需要〉

 2017年のユニフォーム市場は良い方向に動き、特に飲食サービス分野が好調。大手居酒屋チェーンが新業態でステーキや焼き鳥といった専門店を出すようになった。外食チェーンもこの動きに追随し、ユニフォームの更新需要が今後も拡大していくだろう。

 サービスウエアは二極化しており、従来通りベーシックなシャツやパンツを求める層と、コストを抑えるためにTシャツやポロシャツを求めるといった需要もある。両方の声に応える製品を作るとともに、当社が強い和食着などの白衣も提案する。

 17年はメディカルウエアを大幅に刷新した。「アディダス」はブランドの知名度が高く、リハビリなど専門学校などからも引き合いがあり、メディカルとスポーツの親和性が証明できた。自社製品の開発にも力を入れる。

〈ハネクトーン早川 社長 早川 智久 氏/ブランドと市場がマッチ〉

 2017年は5、6月からインナーが好調で、良いスタートを切れた。夏に打ち出した高級感があるボルドーの色使いが特徴の「ラッセルニット」シリーズも売れ、17年秋の時点で前期比2桁%増の伸びで健闘している。

 ここ数年で市場が広がり、そこに当社のブランド「カウンタービズ」の商品がマッチしてきた。化粧品会社の販売をはじめ、ハウスメーカーやエステ、クリニックなど多様な職種で採用が増えている。18春夏向けには新商品「プルジャケ」を投入する。1枚でも美しく見えるよう洗練されたデザインに加え、ユニフォームの原点の動きやすさを重視しニット、ストレッチ素材を使った。

 営業活動では、重点地域と位置付ける東京と地方の計8都市に力を入れる。生産面では自社、外注工場ともに国内縫製を守りたい。

〈トンボ 執行役員 ヘルスケア事業本部長 福井 正人 氏/一つ一つの物件拾う〉

 上半期(2017年6~12月)売上高は、前年あった大型物件などがなかったことで前年同期並みにとどまった。ただ、物件数は増える傾向にあり、前年に比べ在庫を充実させ、顧客に対して安心感を高めていく。昨年から協力工場に生産ラインを増やし、生地調達を早めにするなどでQR、タイムリーな供給を心掛けてきた。

 今年は診療報酬と介護報酬の改定があり、影響がどのように出るか懸念するが、物件数は多いので心配はしていない。一つ一つの物件を拾うことで、通期の目標とする売上高21億円(前期19億6700万円)の達成に向けて巻き返しを目指す。

 素材混率と編み方を工夫し、特許を取得したニット製の患者着は、採用を検討するリネン業者を中心に評価が良いだけに、市場拡大を期待している。

〈チトセ 社長 阿部 陽一 氏/物流拠点を整備〉

 2017年12月期の売上高は前期比8~9%の増収で、6年連続で伸びている。サービスウエアでは2020年の東京五輪に向けてホテル向けのスーツなど重衣料が好調なので拡充する。18年のカタログ「アルベ」でも重衣料を中心に紹介している。

 有りそうで無いものを作りたいと常に考えていて、飲食店向けには接客のときの話題作りになるように和柄の「コイクチシャツ」を作った。メディカルウエアでも好調な「ミズノ」のウエアに加えて、新ブランド「ミッシェルクラン パリ」を投入する。

 サービス、メディカルウエアの販路拡大のために1月上旬、千葉県成田市に物流センターを立ち上げた。宮城のセンターと併せて、全国の代理店に安心して商品を売ってもらえるよう物流を整備したい。

〈アルトコーポレーション 社長 ●瀬 由武氏/「コーデュラ」が好評〉

 上半期(2017年4月~10月)の売り上げは主力の別注案件が鈍く、微減。下半期に巻き返しを狙いたい。商品では「コーデュラ」のコンプレッションウエアをB2C企画として発売、接触冷感機能もあって農業者からも好評を得た。18年も販売を強化する。

 18春夏はコーデュラを使ったパンツ2型をラインアップする。軽量でストレッチを利かせており、汎用性の高いアイテムだ。秋冬に向けてはアウトドアテイストのものを加えるほか、ポロシャツ、アームカバーやマスクなどのバリエーションも増やす。

 ワークウエア市場は電動ファン付きウエアが席巻し、デザイン面ではサービスウエア調のものが増えてきた。メーカーとしての特徴を出すためワーキングとソフトワークのカタログを統合し、ワーキングを主軸に提案する。

(●はまだれに黄)

〈ガードナー 社長 渡辺 英治 氏/自社製品、比率拡大へ〉

 2017年12月期は売上高が31億5千万円で、前期比6%の増収の見通し。半導体メーカーの設備投資が増え、17年春ごろから防塵衣の需要が高まってきている。自動車業界では、自動運転や電気自動車の開発が進んでいるので、需要増を期待している。

 17年までの3カ年の中期経営計画は、自社製品の比率を高め、売り上げをリーマン・ショック前に回復することを目標に走ってきた。以前は65%が他社製品で、自社は35%だったが、今は完全に逆転し7割が自社のユニフォームになり、売上高はリーマン・ショック前を上回ることができた。

 18年は、新たな中期経営計画がスタートする。物流コストの上昇や19年の消費増税など課題はあるが、販売計画と企画、生産の歯車をかみ合わせて、自社製品の比率をさらに高めたい。