TPL・TJT/多面性持つメーカーへ/加工度向上や独自素材で

2017年12月18日 (月曜日)

 【バンコク=西田貴夫】帝人フロンティアのポリエステル長・短繊維製造子会社、テイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)とテイジン〈タイランド〉(TJT)の堀井哲也社長は「10年後には縦、横方向に広がりを持った多面性を持つメーカーを目指す」との考えを示した。

 長繊維に続き、短繊維も国内工場からの生産移管をほぼ完了し、タイでのポリエステル短繊維の年産能力は約倍増の4万㌧強に拡大した。しかし、コスト管理上は意識するものの「実ビジネスでは生産量や生産能力は考えない。むしろ個々の顧客、用途でいかにソリューションを提供できるかが重要。そこで対価を得る」と強調。それが加工度を高める縦方向、独自性素材の開発で品種を拡充する横方向への広がりと言う。

 縦方向については「いかに川中、川下的な動きができるかが課題」。今年4月から帝人フロンティア子会社となったこともあり、単純な売り買いだけではない「より近い関係となったことでコミュニケーションも活発化」し、連携が進む。

 それと同時に糸・わただけでなく、加工度を高めたビジネスでも「当社にできることがある」とし、帝人フロンティアが手掛ける川中、川下ビジネスを自らがOEM調達も含めて展開する可能性を示した。

 さらに、TPL敷地内にあるユニチカのポリエステルスパンボンド不織布(SB)製造子会社、タイ・ユニチカ・スパンボンド(タスコ)とも、TPLで今年稼働したグループ独自製法による長繊維不織布「ユニセル」との複合化なども一例として挙げる。タスコとはチップ原料の供給を行うが、それだけにとどまらず、原料から共同開発も着手している。

 横方向の展開では各種原料を活用した糸・わた開発を行い、「10年後にはさらにバラエティーに富んだ品種構成にしたい」との意向。その一つとしてポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)使いなども検討する。

 堀井社長は「為替相場や原料価格など外的環境の影響をどれだけミニマイズするか。そのためには業態を多様化するしかない。数年後にはどういう企業か説明しにくくなる」と語る。

 ポリエステル短繊維の日本からの移管はほぼ完了したが、ショートカットファイバーなど差別化品が中心のため移管作業は難度が高く、品質はじめ「現状、完璧というわけではない。時間は限られており、スピードアップを図る」。