TPL/TJT/ポリ短設備の増強 計画/自動化、省力化も並行して

2017年08月29日 (火曜日)

 帝人フロンティアのタイ子会社、テイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)とテイジン〈タイランド〉(TJT)は今後、フル生産が続くポリエステル短繊維で増設を計画するとともに、工場周辺で人員確保が難しくなりつつあることを受け、各工程で自動化、省力化を進める。

(バンコクで吉田武史)

 両社の堀井哲也社長によると、ポリエステル短繊維はフル生産、フル販売が続く。紡績用途は2011年に同国で発生した大洪水被害を契機に完全撤退したが、一方の非紡績用途は旺盛な需要に支えられて好調。けん引するのは不織布向けで、その用途は(1)車両内装材など向け原着再生わた(2)紙おむつ、ナプキンなど衛生材料向け(3)機能紙向けショートカットファイバー――。

 原着わたは、同国自動車生産が頭打ちであることなどを背景に大きな伸びはないものの安定。一方、衛生材料向けとショートカットは需要の高まりが顕著で生産が追い付かないほど。需要増を背景に設備増強を実施する計画で、「衛生材料向けかショートカットかを年内にも決定する」。

 一方、衣料用ポリエステル長繊維は苦戦が続く。「タイ国内で衣料向けポリエステル長繊維を拡大するのは難しい」として対日をメインにしてきたが、今後は対日を維持しながら東南アジア各国向けで自主販売拡大を狙う。

 シートベルトや漁網、タイヤコードなど太繊度ポリエステル長繊維は岩国工場からの移管が「ほぼ終了」。顧客認証を順次進めており、年内には完了する見込み。

 堀井社長はTPL・TJTの全体方針として、自動化、省力化を挙げる。人員確保難が今後顕在化していくことなどが背景で、「ポリエステル短繊維設備の増強と並行して」取り組む。