帝人フロンティア/インナー素材 開発加速/ナノやPTT繊維に重点
2017年08月01日 (火曜日)
帝人フロンティアの衣料第一本部テキスタイル第三部は、インナー向け機能素材の開発を加速している。ナノファイバーなど特徴のある素材(糸、生地)が伸長しており、バリエーションを拡充することで一層の販売拡大につなげる。18春夏では汗冷えなどを防ぐ新素材も投入する。
同部のインナー素材販売(ランジェリー、ファンデーション用途中心)は、17春夏物で前季比20%増となるなど順調な動きを見せている。「独自素材の提案が好評」(小林茂一テキスタイル第三部長)を博しているものだが、その中でもとりわけけん引役になっているのがポリエステルナノファイバーの「ナノフロント」になる。
ナノフロントは、繊維1本の直径が700ナノメートルの超極細ポリエステルファイバー。この糸を用いた生地は通常の繊維と比べて数十倍の表面積を持ち、滑りにくさや柔らかさ、肌への優しさなどの特長表す。インナー用途では滑りにくさが評価され、大手ナショナルブランドのボトムなどで採用が進む。
重点素材の一つと位置付けており、今後も積極的に仕掛ける。小林部長は「滑りにくいという機能を前面に打ち出し、18春夏に向けてはウエストゴム代替などの用途にも広げていきたい」と言う。国内だけでなく、海外のインナーメーカーへの販売も増やす。
四つ山扁平状の断面を持つ「ウェーブロン」やポリトリメチレン・テレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」といった素材の提案も強める。これまでソロテックスのインナー分野への展開は少なかったが、17春夏から「モダール」複合のテキスタイルの展開を始めている。
18春夏向けでは撥水(はっすい)糸とテキスタイル構造で、吸水拡散スピードと速乾性を高い次元で実現した「シグマティ(ΣT)」を新たに上市する。冷房の効いた室内での汗冷えを防ぐほか、汗が逆戻りしにくいため快適な着心地を導く。吸水・速乾性は洗濯を繰り返しても変わらないという。
来春夏は機能素材の開発・提案の充実に加え、海外オペレーションの強化やまとう化粧品「ラフィナン」を軸にした製品ビジネスの拡大に力を注ぐ。製品を含めたインナー素材の販売は「17春夏と比べて20%程度の成長を目指したい」(小林部長)としている。