ミラノからの手紙/「ITMA2015」報告(20)/装置・パーツ/メンテナンスを自動化

2016年01月20日 (水曜日)

 今回の「ITMA2015」では機械のメンテナンスを自動化する装置やパーツの提案も進んだ。省人化に加え、機械・部品を常に最適状態に保つことで生産効率向上にもつながる。

 高山リードはエアジェット織機の筬をメンテナンスするツールをフルモデルチェンジし、今回展で紹介した。エアチェッカー「TR―7800AL」は風量の状況をリアルタイムでモニター表示する商品で、筬の良い状況のデータを把握しておけば異常時に即対応できる。メーカーから出荷後は、ユーザーが筬の状況を調べる機械はこれまで市場にあまりなく、要望も多かったという。併せてサブノズルチェッカーはデジタル化で利便性を向上した「TR7700SN」を開発。両機種に合わせて経糸を緩めることなく織機の上から筬を洗浄できる「TR7600RC」などもそろえ、メンテナンスにかかわる労力を削減する提案を行った。

 また、日本ノズルはノズルの自動検査機「レッドスキャン」の機能をさらに進化させた。同機種は2004年の「ITMAアジア」で発表し、これまで人の手に頼っていたホール検査を機械化することで時間と手間を大きく削減できると注目された。今回のITMA2015では機能をさらに向上させており、検査精度を2~3ミクロンから0・5ミクロンレベルに向上するとともに、検査速度も高めている。さらにチェンジャーストックを搭載し、ユーザーの利便性を高めた。ノズル洗浄後、帰宅前にセットしておけば次の日には検査結果が出ているという形も可能となる。

 一方、主力の紡糸用・不織布用ノズルも好評で、トルコなど欧州各国の企業から注目されたという。前年のITMAアジアに比べて訪問客数は少ないものの、成約率は格段に高かった。これまで日本ノズルの社名は知っていても価格が高いというイメージを持っていた企業が、他社製でうまくいかず同社のブースに訪れるケースも多かった。

 阿波スピンドルは主力商品を一通り紹介したが、なかでも省エネ型の紡糸用エアノズル「SR―1」が注目された。今回展で発表した新商品で、ノズルデザインから工夫を凝らし、従来品比で20%の空気消費量削減を実現した。インドや欧州など各方面からの関心を引いた。

 イズミインターナショナルは扱いが難しいガラス繊維や炭素繊維などのテンション制御装置や緯糸供給装置などを提案した。ブース前では炭素繊維やポリプロピレンなどの扁平糸を織機の動きに合わせてよじれないように緯糸として供給する「WF―510」を実演。製織後の高い品質を実現するのに欠かせない装置として紹介した。

 ITMAでは毎回、装置・パーツで玄人をうならせる新提案があるが、今回もメンテナンスの自動化など今後の繊維機械の方向性を示唆する内容があったと言えるだろう。