TOP INTERVEW 2016/ワークウエア市場、明日への展望

2016年01月18日 (月曜日)

〈桑和 専務 藤井 荘大 氏/個性が輝く環境作りへ〉

 2016年1月期決算は、前期の売上高40億8700万円よりも微増となりそうだ。値上げをした分、増収となったが、販売数量を見ると落ち込んでおり、暖冬で秋冬物の動きが芳しくないなかで、市況は決していいとは言い切れず、既存顧客との関係をしっかり強化しながら、増収を確保していきたい。

 今年は新しく倉庫を作り出荷体制を強化する。出荷ミスを無くすため社内の物流の動線を見直し、作業の効率化を進めるとともに、出荷を当日昼の3時まで対応する。生産面の見直しも進め、納期や品質の面で、顧客満足により応える体制にしていく。足元の状況を見ると、16年度は売上高を横ばいで維持していくのが精いっぱいだと考えている。地道に顧客のニーズをつかむ、毎年それしかないと思っている。

 商品面ではブランド「Gグラウンド」を中心にデザイン、機能性を磨きつつある。企画力を高めていくとともに、個人の能力が発揮できるように、一人ひとりの個性が輝く環境作りにも力を入れていきたい。

〈明石スクールユニフォームカンパニー アクティブチャレンジ部長 浅沼 由佳 氏/付加価値のある商品開発〉

 ワークウエア市場は、企業収益・雇用の拡大など回復基調となっている。しかし、当社の供給のメーンとなっている中小企業向けの納入を中心に企業制服の買い替え需要にはつながっておらず、全体的に足踏み状態であることから、上期(2015年6~11月)は前年同期並みで推移した。

 下期は昨年7月に発表した、動きやすさを追求したスマートシルエットの新企画「スマートワン」が非常に好評であることから、売り上げ拡大と、さらなる付加価値のある商品開発に力を入れる。

 メディカルは「ルコックスポルティフ」ブランドの販売が好調に推移していることから上期、10%以上の増収となったが、介護市場は他社の参入などで競争が激化し、看護は大口物件の納期が来期にずれ込むなどで苦戦もしている。ただ、ルコックの決定率は落ちていないことから、こだわりをもった商品開発を一段と進めるとともに、全国にある営業網を強みとして営業力の底上げを図っていく。

〈中国産業 社長 原 昇 氏/顧客とのパイプ太くする〉

 2015年8月期決算は売上高が前期比0.8%増の11億1800万円と微増収で着地した。販路はショップ向けがほぼ100%となるが、そのショップの商品構成は変化しつつあり、定番品からアウトドアやカジュアルテーストのワークウエアが増えてきた。プロショップ化など、今までに無いイメージに転換しようとするショップも増えており、新規の取引先が拡大している。ただ、生産面の確保が難しく、需要の拡大に対応しきれていない。

 今年は、得意とするアウトドア、カジュアルテーストのワークウエアの商品開発により力を入れる。取引先とはパイプを太くし、モノポリー的な商品供給の対応もできるようにする。

 また、ブランドの認知度が高まってきた「ドッグマン」では、顧客のブランドとのダブルネームといった共同開発も進め、他社に無いドッグマンらしいテーストを追求する。

 消費者減により市場が縮小しているが、ニーズに応える商品を打ち出しながら、今期の目標に掲げる売上高12億円を達成していきたい。

〈三愛 社長 三國 徹 氏/本当の意味での正念場へ〉

 2015年12月期の決算は、売上高が前期比7~8%の増収となる見込みだ。これは値上げや、やや大口の案件の受注ができたところが大きい。ただ、販売数量は大きく伸びているわけではなく、決して楽観できる状況ではない。今年度が本当の意味での正念場となるだろう。

 海外での人件費上昇や円安による輸入コストの上昇により利益面が圧迫されているが、海外工場の新規開拓や新商品の投入、従来品のバリエーションの拡充で打開を図りたい。

 15年から組織を改編し、主力定番商品の「アイクロ」や、機能性、デザイン性に特徴を持たせた「ジョブズ・アーマー」、実用性と高コストパフォーマンス兼ね備えた「エスエーワン」など新ブランドを投入し、ブランドに沿った商品作りを手掛けている。現在でも特注品の生産比率が比較的高いものの、定番、特注にかかわらず、従来からの小回りを利かせた商品作りを今後もしっかり継続し、今後は新たな分野での商品開発と展開を進めていきたい。

〈大川被服 社長 大川 克昌 氏/企画力磨き、違い明確に〉

 2015年は、秋冬物が暖冬や消費不振の影響があって、市況は決して良くなかったが、16年1月期決算については前期に比べ悪くない数値に着地しそうだ。大口案件の受注や「kansai uniform(カンサイユニフォーム)」や、自社の「DAIRIKI(ダイリキ)」など他社に比べ強いブランド力による底堅いユーザーニーズの確保ができていることがある。

 業界的にはスポーツカジュアルテーストがトレンドになりつつあるが、当社が展開するブランドはラグジュアリーなテーストが中心であり、今のところその柱を変えるつもりはない。ただ、役職に合わせて襟のラインカラーを変える「冠位十二階」のような、当社ならではの企画力を磨き、他社との違いを明確にしていきたい。

 17年4月に消費増税の可能性があり、そこに向けて顧客とどうしていくかをしっかり話をするとともに、多様化するニーズをとらえつつ、独自色を出した商品開発を追求していきたい。